2020年7月15日に阪急阪神リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,170円のところ3,039円で着地しました。

現状ホテルの譲渡はプラス
20200722阪急阪神リート投資法人NOI推移

 2020年5月期の外部成長は、「芝浦ルネサイトタワー(共有持分10%相当)」、「nanohana戎橋店(敷地)」及び「万代下新庄店」の3物件を取得するとともに、「コーナン広島中野東店(敷地)」及び「ホテルグレイスリー田町(準共有持分90%相当)」を譲渡しました。なお、2020年8月には「ホテルグレイスリー田町(準共有持分10%相当)」を譲渡することを予定しています。これは、スポンサーグループの総合力と本資産運用会社独自の取得情報ルートを活用し、東京都心のオフィスビル、安定性の高い大阪中心部の敷地及び地域密着型商業施設を取得し、併せて投資法人保有の地域密着型商業施設及びホテルを譲渡するという戦略的な資産の入替えを行い、ポートフォリオの質の向上及び体質の強化を図ったものです。

 内部成長は保有する32物件の運用に際しては、投資法人の強みの一つであるオペレーショナル・マネジメントの最適化に注力しました。すなわち、プロパティ・マネジメント会社との連携を密にし、テナントニーズを反映したきめ細かい管理を行ってテナント満足度を向上させ、効果的な販売促進活動を通じて賃料単価及び稼働率の維持・向上を図りました。「汐留イーストサイドビル」においては、新規テナントの誘致実現により、稼働率が2019年11月期末の約64%から2020年4月には100%まで回復しました。「上六Fビルディング」においては、一部テナントの解約予告を受け、2020年2月には稼働率が約63%に低下する見込みでしたが、一部区画について空室期間なしで入居する後続テナントが早期に決定したことなどにより、2020年5月に稼働率は90%まで回復しました)。更に、他の区画についても後継テナントが決定し、2020年6月(第31期中)には100%まで回復しました。2020年5月期末現在のポートフォリオ全体の稼働率は99.8%と、引き続き高稼働率を維持います。
 同時に、競争力強化につながるテナント満足度の維持・向上を図りつつ運営管理の品質向上や効率化を進め、管理費用の適正化に努めました。

 しかし、阪急阪神リート投資法人もコロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の影響を受けており、投資法人が保有する一部の商業施設やホテルでは、休業を余儀なくされる等、大幅な売上減少に直面するテナントが生じました。

 投資法人と資産運用会社は、金融商品取引法上の忠実義務及び善管注意義務を果たす中で、このようなテナントに対しては、事業継続を支えるため一時的な賃料減額又は支払猶予を受け入れ共存を目指すことが社会的要請に照らしても必要であり、それがポートフォリオの中長期的な価値の最大化にもつながるとの判断のもと、一部のテナントと協議の上、賃料減額等の対応を進めているとしています。

 2020年5月期の賃貸可能面積は400,398.40㎡、ポートフォリオ全体に占める商業用途区画の比率は69.7%(取得価格ベース)、関西圏の比率は73.5%(取得価格ベース)となっております。2020年5月期の実績として営業収益6,460百万円、営業利益2,696百万円を計上いたしました。ここから支払利息等を控除した後の経常利益は2,334百万円、また当期純利益は2,333百万円となりました。


格付けは引き続き安定的

 財務戦略についてですが、阪急阪神リート投資法人は、安定収益確保の実現と運用資産の着実な成長による投資主価値の最大化を図るために、安定的かつ効率的な財務戦略を立案し実行することを基本方針います。そのため、エクイティファイナンスやデットファイナンスとともに、商業用施設等において受け入れた敷金・保証金等(2020年5月期の残高7,124百万円)を有効に活用しております。また、借入れに際しては、金利動向に鑑み、借入コストの抑制、借入年限の長期化・返済期限の分散の両立を図るべく取り組んでいます。
 具体的な動きとしては、2020年1月に返済期限が到来した借入金5,000百万円(短期借入金)について、長期・固定金利にて借換えを行いました。更に、2020年3月に新規物件の取得資金として1,500百万円の新規借入れ(長期・固定金利)を行いました。2020年5月期末の有利子負債残高は、75,400百万円となりました。このうち借入金は71,400百万円(短期借入金4,500百万円、長期借入金66,900百万円(1年内返済予定の長期借入金9,000百万円を含みます。))、投資法人債は4,000百万円(1年内償還予定はありません。)であり、総資産有利子負債比率は44.1%となっています。尚、2020年5月期末時点の格付けは以下の通りです
・㈱社格付投資情報センター所(R&I):発行体格付:A+、格付の見通し:安定的 
・㈱日本格付研究所(JCR):長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的