2020年5月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
2020731J-REIT(5月・11月決算)・NOI利回り推移
2020731J-REIT(5月・11月決算)・NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。2020年5月期の投資法人のNOI利回りは概ね横這い・・・と言いたいところですが減少傾向にありますね。5月までの段階ではまだ各投資法人のテナントから賃料減額の申し出はほとんど無かったのではないかと思いますが、商業施設が多いアクティビア・プロパティーズ投資法人を始め営業自粛が早かったまたは、自粛期間を長めにとっていた物件については何らかの賃料減額(免除措置)をとっていたものと考えられます。また、レジデンス系J-REITである平和不動産リート投資法人のNOI利回りがほぼ一定なのに対してオフィスビルとレジデンスを中心とするユナイテッド・アーバン投資法人のNOI利回りが低下していることを考えるとレジデンスよりもオフィスビルでコロナウイルスによる緊急事態宣言の影響は出ていたと思われます。日本プロロジスリート投資法人は物流系J-REITであるため緊急事態宣言の影響は基本的に無いはずですが、2020年4月末に起こったプロロジスパーク岩沼1が火災により滅失しているためプロロジスパーク岩沼1の賃料が1か月分丸々受け取れていないことに意味するので一時的な減少であると考えられます。阪急阪神リート投資法人も減少していますが、この投資法人も商業施設が多いので賃料の減額やリーシングの苦戦があったものと考えられます。しかし、阪急阪神リート投資法人の商業施設は「敷地」であるものが多いためから固定賃料であることからその影響は限定的ではないでしょうか。
 大和証券オフィス投資法人は現状維持といったところで5月・11月決算投資法人の中では優秀だと思います。大和証券オフィス投資法人はもちろんオフィス系J-REITですがユナイテッド・アーバン投資法人が運用している物件ほど大型のものは少ないことによるものだと考えられます。大和証券オフィス投資法人の物件は築古ではありますが立地という面で競争力が高い物件が多いことが特徴です。


・当期純利益率
2020731J-REIT(5月・11月決算)・当期純利益率推移
2020731J-REIT(5月・11月決算)・当期純利益率推移2

 5月・11月決算投資法人の当期純利益率の推移ですが、大きく減少しているのは勿論日本プロロジスリート投資法人です。これはプロロジスパーク岩沼1火災損失によるもので特別損失として3,752百万円が計上されているため当期純利益を圧迫しています。これは先日のプレスリリースにもありましたが、保険金額が確定していないので3,752百万円の損失が確実に補填されるかどうかは予断を許さない状況です。火災発生から3か月経過している中で出火原因原因が不明なのはマズイと思います。人為的に誰かが放火したものなのかテナントの営業中の何らかの不始末か、そもそも建設時に消防設備等により何らかの欠陥があったものなのかこの3パターンだと思うのですが、これが建設時に問題があったとした場合はスポンサーの開発プロセスに問題があったということなのでスポンサーから物件を取得することがリスクとなります。流石に物流系J-REITが調子いい状況であってもスポンサーから物件が取得できないということが発生すると外部成長スピードはがた落ちです。既に投資法人が取得している物流施設はどうするのか?といった問題も出てくるのでこのプロロジスパーク岩沼1火災問題は早急に解決して欲しいですね。
 他の投資法人については物件売却を実行した投資法人が多かったということもあり前期より上振れている投資法人も有りますが、それを抜いて計算すると前期よりも減少しています。当然上記で述べたように賃料減額やリーシング遅延によりNOI自体が減少しているため当期純利益率も当然下がることになります。