一般社団法人日本ショッピングセンター協会から2020年7月時点のSC販売統計調査報告が公開されておりますのでご紹介致します。

URL SC販売統計調査報告2020年7月
20200828SC販売統計調査報告2020年7月
 
 2020年7月度の既存SC売上高は総合で前年同月比▲17.6%となり、前月(▲15.0%)より2.6ポイント悪化しました。7月中旬から新型コロナウイルス感染者の再拡大が顕著となり、外出自粛傾向が強まったこともあり、多くのSCが客数減となりました。7月22日には国内感染者数795人を記録し、緊急事態宣言下である4月11日の720人を上回ったこともあり、7月23日からの4連休での客足を鈍らせる結果になりました。加えて、長梅雨や九州・中部・東北の豪雨災害などの悪天候もマイナス要因となったようです。

 立地別・構成別では、テナントが前月(▲17.1%)から2.8ポイント減の▲19.9%、キーテナントは前月(▲7.0%)から1.5ポイント減の▲8.5%となり、ともにマイナス幅が広がりました。前月同様、公共交通機関が主な来館手段となる中心地域・大都市で前年を大きく下回りました(▲32.6%)。また、生活必需物資を販売する食品スーパーやGMSが主である周辺地域のキーテナントは、前月に▲1.9%まで回復したものの、7月は▲3.8%に悪化し、これまで下げ幅の少なかった周辺地域での消費マインドの低下が懸念されています。

 立地別・地域別をみると、前月と比べ、関東地域と近畿地域の下げ幅が大きいです。これは、東京区部や大阪市といった中心地域の駅ビル・地下街などで、感染拡大防止に取り組んでいるものの、消費者の密に対する心理的懸念が未だ生じていることが推察されます。
 都市規模別・地域別では、「大都市」に比べ、「その他の地域」において前月からの落ち込みが大きい(▲9.5%から▲12.5%に悪化)。特に、東北は新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始め、九州・沖縄は豪雨被害の影響もあり、それぞれ外出自粛により来館数が減ったことが影響したと思われます。

20200828既存SC売上高伸長率2020年7月

 業種別の動向を見ると、ステイホームのライフスタイルが定着したためか、自宅で調理できる生鮮食品、テレワーク用の家電家具、娯楽用としてゲーム機器等の販売が好調でした。一方、アパレルは、春物衣料の値引き販売等により前月は好調でしたが、7月は長梅雨により気温の低い日が多く、夏物衣料の販売が苦戦しました。また、会食自粛の続く飲食やシネマ等のサービス業種も引き続き苦戦が続いています。

 商業施設はホテルに次いでコロナウイルスによる影響を受けているアセットです。ですが生活に密接に関係している生鮮食品スーパーやドラックストア等業績が割と好調なテナントも存在するので地方自治体からの営業自粛にもある程度抗える理由が説明することができればある程度の規模の商業施設は生き残っていけると思います。スポーツジムやテニスコート的なアクティビティなことを事業としている施設は今後もコロナウイルスの影響を受ける可能性は相対的に高いと考えられるのでJ-REITの商業施設リーシングについてはより安全性の高い業態を選別していく傾向が高まりそうです。