㈱日本格付研究所(JCR)がタカラレーベン・インフラ投資法人の格付評価を引き上げています。現在の投資商品の中で評価を引き上げているのはタカラレーベン・インフラ投資法人に限らず、インフラファンド全体として追い風です。JCRはタカラレーベン・インフラ投資法人について以下の点を評価しています。

①上場依頼資産規模の拡大を進めてきた点

 投資法人は2016年に東京証券取引所インフラファンド市場に第1号として上場以来、順調に資産規模の拡大を進めてきた。2020年8月現在32発電所(パネル出力合計106.6MW、取得価格総額425.7億円)を保有している。一つの発電所が全体に占める割合はパネル出力ベースで最大 2 割弱と分散されたポートフォリオとなっている。
 また、電力需要の大きい関東地方に位置する発電所が約 7 割を占めることは、将来の出力抑制に係るリスクが抑制されているものと評価できる。発電所の長期的な安定性を高めるための保守管理や設備修繕が適切に行われており、運営状況は総じて良好である。

②スポンサーの安全性

 スポンサーは約8年の太陽光発電設備の開発、運営の経験を有し、投資法人へ売却した発電所を含め200MW以上の発電設備の開発を手掛けるなど十分な開発、運営能力を有している。大部分の発電所でオペレーターと賃借人を兼ねているが、一定の信用事由等が発生した場合は投資法人により適切な者に交代させることが想定されている。

③LTVの安定性

 保守的な財務運営により良好な財務健全性が維持されている。LTVの上限を原則60%としていますが、当面はLTV50%強を目途に運用する方針で運用されています。FITに裏付けられた安定したキャッシュフローが、借入金の元利払い負担に対し、十分な余裕を確保して推移しています。スポンサーは、2021年3月時点で250MWの発電規模を目指しており、順次投資法人に組み入れていく計画である。財務健全性を高めつつ、運用資産の成長と品質維持を確保していくことが今後のポイントである。

 JCRの評価には概ね賛成できます。しかし、インフラファンド<、J-REITにも言えることですがスポンサーに一定の信用事由等が発生した場合は投資法人により適切な者に交代させることがスポンサーの子会社である資産運用会社(AM会社)が本当にできるのか?という点です。投資法人のスキーム上、執行役員と監督役員はスポンサーと利害関係のない外部の人間が抜擢されるケースが多いです。が、その人を見つけてくるのはスポンサーかAM会社が探すことになります。となると自分に逆らわない従順な人を選んでくることになるので、スポンサーが経営的に危なくなっても他社に変更する可能性は低いですね。あり得るとすればスポンサーがインフラファンドを捨てる時だと思います。