2020年9月14日にイオンリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,125円のところ3,178円で着地しました。

内部成長により災害対策を強化
20200924イオンリート投資法人NOI推移

 外部成長については2020年2月に借入金を活用して「イオンモール多摩平の森」(取得価額9,667百万円)を取得したことで、資産規模は3,901億円に拡大しました。内部成長としては、「イオンモール鈴鹿」、「イオンモール倉敷」、「イオンモール千葉ニュータウン」及び「イオンモール京都五条」の4物件において、火災時に煙の拡散を抑える防煙垂れ壁をガラス材質から不燃フィルムへと取り換える工事を行い、賃料増額を実現しました。当該防煙垂れ壁の取換えにより、被災時の防煙垂れ壁の落下による被害を最小限に防ぎ、被災からの復旧も迅速に行うことができるようになり、防災・減災への取組みも進めています。
 イオン・タマン・ユニバーシティ・ショッピング・センター、イオンモールセレンバン2のマレーシアに所在する物件ですが、マレーシア経済については、2020年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比0.7%増とリーマンショック時以来の低水準となっています。マレーシア国内においてコロナウイルス感染拡大防止のために2020年3月から移動制限令が発令され、経済活動が鈍化したことが主な理由と考えられています。2020年8月以降はマレーシア国内において、1日当たりの新型コロナウイルス感染者数は数人から十数人程度と落ち着きを見せている一方で、小規模なクラスター感染の発生や世界な感染者数の増加により、8月28日には回復移動制限令(RMCO)を12月31日まで延長することが発表されています。今後のマレーシアにおけるコロナウイルスによる影響や原油価格の低迷等に留意が必要と述べています。


スポンサーが生活用品を扱うテナントであることも格付評価の強み

 2020年7月期の財務の動きは、「イオンモール多摩平の森」の取得資金及び関連費用の一部に充当することを目的として、2020年2月3日に9,800百万円の借入を行いました。投資法人の2020年7月31日の有利子負債残高は159,800百万円であり、LTVは44.9%です。
 2020年7月31日現在の長期有利子負債比率(有利子負債合計に対する長期有利子負債(1年内返済予定の長期借入金を含む)の割合)は93.9%及び金利の固定化比率(有利子負債合計に対する金利支払いが固定化された有利子負債(金利スワップで固定化された有利子負債を含む。)の割合)は93.9%であり、LTVとあわせて引き続き健全かつ保守的な財務体質を保持しています。財務基盤をより強固なものとするため、有利子負債の返済期限の分散化及び長期化に取り組んでいます。2020年6月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的