2020年7月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20201005J-REIT(1・7月決算)・有利子負債利子率推移
20201005J-REIT(1・7月決算)・有利子負債利子率推移2

 1月・7月決算投資法人の有利子負債利子率のも前期と比べると減少しています。これはレンダーが
意外にもコロナウイルスやそれに伴う緊急事態宣言にも態度を変えなかったことが大きいと思います。これは今回の場合は日本が単体で経済が悪化するものではなく、世界的に経済が悪化すると思われていたためJ-REITから資金を引き揚げても他に投資する先が無い、それどころか不動産、J-REITが一番安定していると予想したのだと考えられます。特にあおぞら銀行や新生銀行が逃げなかったのがどう考えても怪しすぎるからです。彼らから見れば逃げても母国が危ないので逃げ無しという感じだったということが容易に推察できます。個人的にはレンダーかJ-REITから資金を引き揚げなかったことは評価したい点です。レンダーが冷静だったため融資先で働く経営者、社員たちも不安を少しは軽減できたと思っています。
 ここで1つ触れておきますが、ようやくさくら総合リート投資法人との合併を終えたスターアジア投資法人にとってはいろんな意味でパニックになった期だったと思います。特にスターアジア投資法人の資産運用会社にとっては。中国で混乱しているのでスポンサーも混乱します。そうすると当然この子会社も混乱していきます。特に合併後はスポンサーパイプラインを活用に資産規模を拡大することを狙っているためそのための弾(物件)取得のためスポンサーの力は不可欠ですからね。肝心のバンクフォーメーションのシェアは三井住友銀行28%、みずほ銀行18.7%、新生銀行16.2%と以降という布陣です。今後は新生銀行の比率を下げつつ、三菱UFJ銀行(信託銀行でも良いですけど)の比率を上げていけば投資家さんの評価も上がってくると思います。
   

・LTV(有利子負債比率)
20201005J-REIT(1・7月決算)・LTV推移
20201005J-REIT(1・7月決算)・LTV推移2

 1月・7月決算の投資法人のLTV水準は安定的に推移しているようです。40%台前半が平均になってきていますが、やっぱり三井不動産ロジスティクス投資法人の比率はずば抜けて低いですね。資金調達余力を残していることになるので安全性の部分では高いと言えそうです。各投資法人ともコロナウイルスにより各テナントの事業についても慎重になっているため大型の取得案件は少なくそのためLTVの大きな変動は特に有りません。どの投資法人のバンクフォーメーションを見ても顔ぶれが固定化されたと思います。メガバンク、信託銀行だけでなく地方銀行についてもJ-REITに絡もうとする銀行と全くその気配が無いとというところの2つに完全に別れました。J-REITに興味が無い顔をしておきながらグリーンボンド債の発行については積極的に応募するというがちぐはぐな感じを受けまが・・・。

 その代わりといっては何ですが、昔はJ-REITに融資していたが今はほとんど見かけなくなったレンダーとして「東京スター銀行」があります。特にリーマンショック時には東京スター銀行から借り入れてる投資法人は多く存在していました。東京スター銀行は外資系の金融機関ですが、あおぞら銀行や新生銀行のように地震が起きたらすぐ逃げるということはせず、比較的温厚に見守っているタイプです。ノンリコースローンの融資についてのスピードも早いほうの部類に入ります。ちょうどメガバンクと地方銀行の真ん中のような立ち位置で(東京スター銀行は実際には第二地銀ですが)した。しかし、常に金利が強気であったことから投資法人により借入比率を徐々に下げられ今やほとんど目にすることが無くなってしまいました。各資産運用会社ではこういった借入る際の条件やメリット、関係性を考慮し運用されています。