2020年10月16日に日本リテールファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が4,500円のところ4,500円で着地しました。

風評ほど商業施設の業績は悪くない
20201028日本リテールファンド投資法人・NOI・NCF・ROA利回り推移

 2020年8月期については、新規3物件(マチノマ大森、Gビル代官山02、Gビル天神西通り02)を取得し、また、保有資産の入替えの一環として2物件(イトーヨーカドー錦町店の不動産信託受益権の準共有持分40%及びアーカンジェル代官山(底地)の不動産信託受益権の準共有持分45.04%)について、当期に売却を完了しました。内部成長についてはこれまでの運用実績で培われた柔軟なリテールマネジメント力を活かした「既存物件の価値向上」策の一環として川崎ルフロンの大規模リニューアルに取り組んでおり、2020年7月に水族館のオープンを迎え、リニューアルを完了しています。これれらの結果、2020年8月期末において、投資法人の運用資産は102物件、取得価格の総額8,888億円、鑑定評価額の合計9,971億円、総賃貸可能面積2,336,391.47㎡、テナント総数984、ポートフォリオ全体の稼働率は99.7%となりました。2020年8月期末におけるポートフォリオ全体の含み損益については、 主として物件売却による含み益の剥落等の結果として、含み益は1,611億円(前期比△9億円)となりました。2020年8月期の実績として営業収益30,848百万円、固定資産税及び資産運用報酬等の営業費用を控除した営業利益は13,828百万円、経常利益は12,116百万円、当期純利益は12,116百万円となりました。

 日本リテールファンド投資法人はCBREが5月に実施したアンケートによると、主要都市に路面店舗を出しているリテーラーの約9割が店舗の賃料減額をオーナーに要請しました。一方、1年は出店を抑制するとの回答が3割超だったのに対し、積極的に出店を続けるとの答えも3割に上り、店舗閉鎖などで好立地の募集が出回ることを期待した需要も見られると述べています。

 財務面の動きについては、まず、2020年3月に新規物件取得資金に充てるために短期借入金70億円の借入を行いました。更に、2020年3月に既存の長期借入金130億円の返済資金に充てるために長期借入金130億円の借入を行い、2020年4月に既存の短期借入金70億円及び長期借入金125億円の返済資金に充てるために短期借入金70億円および長期借入金125億円の借入を行いました。
 また、2020年7月に既存の長期借入金43億円の返済資金に充てるために長期借入金43億円の借入を行いました。これらの結果、投資法人の2020年8月期末現在の有利子負債残高は4,117億円、うち、短期借入金70億円、長期借入金は3,602億円、投資法人債(グリーンボンドを含む)は445億円となりました。長期負債比率については98.5%、固定金利比率については92.8%、LTVは50.9%となっています。


気になるのはやっぱり合併後

 2020年8月28日付に締結したMCUBS MidCity投資法人との合併ですが、効力発生日は2021年3月1日となっています。この合併に伴い、新投資法人は総合型REITへの転換を機に投資対象用途の拡大を行う予定です。新投資法人は、従前本投資法人が投資対象としていた商業施設並びにMMIが投資対象としていたオフィスビル及びホテルに加えて、住宅及びこれらの用途の複合施設といった新たな資産への投資が可能となり、環境変化に応じた持続的な外部成長が可能になると考えています。特に、都市部において物件の用途の複合化が進展していると両投資法人は考えていることから、投資対象用途の拡大により、一つの物件用途に拘ることなく、環境変化に応じた施設運営の柔軟性が向上すると考えています。また、物件の取得に際しても、本合併前は両投資法人での取組みが難しかった複数用途に跨るバルクセールのような大型取引での大規模取得が可能となり、これによって外部成長の蓋然性を高めることができると両投資法人は考えており、これまで以上に独自のネットワーク及びスポンサーサポートを活用し、持続的な外部成長を図っていく方針を述べています。

 正直アセットの種類の中で一番ネガティブなのが商業施設です。物流施設は安定性と収益性を兼ね備えていることを投資家さんが目にしてしまったため今後も伸びていくと思います。オフィスビルとレジデンスも安定性を発揮しています。(結局リモートやテレワークがと相性が良い企業はリモートやテレワークを事業としている企業ばかりでこれまでの企業とは相性が良くないことは多くの方が感じているようです)。ホテルはコロナによるダメージを一番受けましたが結局、外国人旅行者の入国が緩和されたり、Gotoトラベル等の施策により低かった投資口価格も大幅に上昇しています。そしてこれといってプラスのニュースが無いのが「商業施設」です。それもコンビニやドラッグストア等生活インフラを支えているタイプではなく、スポーツジムやゲームセンター的なアミューズメントパークと化しているところは、プラスのニュースが何も無いので辛いところです。結局そういったところは外国人も少なくインバウンド需要に支えられいた訳では無いので、Gotoトラベル=ホテルのように連想することもされ辛いという点もあると思います。資産規模が拡大してもしばらくは実力は発揮し辛い状況は続くと考えられます。