2020年11月19日に大和証券リビング投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,150円のところ2,190円で着地しました。

日本ヘルスケア投資法人との合併により負ののれんが1,102百万円発生
20201127大和証券リビング投資法人NAV倍率推移

 大和証券リビング投資法人は、2020年4月1日付で日本ヘルスケア投資法人からヘルスケア施設23物件(取得価格24,241百万円)を承継しました。また、2020年4月1日付で賃貸住宅27物件(取得価格合計13,459百万円)を譲渡し、2020年4月2日付でヘルスケア施設28物件(取得価格合計62,660百万円)を取得し、2020年4月10日付で賃貸住宅1物件(グランカーサ文京千石、取得価格1,480百万円)を取得し、合併に伴う資産規模の拡大と同時に、ポートフォリオの質の向上を目的とした資産の入替えを実施しました。合併及びそれに付随する当該一連の取引の結果、2020年4月10日時点で取得価格総額302,799百万円に達し、資産規模の拡大を実現しました。その後、2020年9月30日付で賃貸住宅1物件(グランカーサ日本橋浜町、取得価格930百万円)を取得しました。上記の結果、当期末現在の保有物件は、賃貸住宅168物件(取得価格合計216,828百万円)、ヘルスケア施設50物件(取得価格合計86,901百万円)の計218物件(取得価格総額303,729百万円)となりました。


日本ヘルスケア投資法人から承継した物件

チャームスイート緑地公園(用途:ヘルスケア施設、受入価格3,030百万円)
SOMPOケアラヴィーレ相模原中央(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,780百万円)
ヴェルジェ枚方(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,560百万円)
さわやかはーとらいふ西京極(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,130百万円)
SOMPOケアラヴィーレ衣笠山公園(用途:ヘルスケア施設、受入価格2,000百万円)
スーパー・コートJR奈良駅前(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,710百万円)
ラ・ナシカあらこがわ(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,400百万円)
みんなの家・中央区円阿弥(用途:ヘルスケア施設、受入価格860百万円)
みんなの家・大宮つつじヶ丘公園(用途:ヘルスケア施設、受入価格775百万円)
そんぽの家 西田辺駅前(用途:ヘルスケア施設、受入価格737百万円)
イリーゼ狛江・別邸(準共有持分30%)(用途:ヘルスケア施設、受入価格399百万円)
SOMPOケアラヴィーレ広島光が丘(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,210百万円)
さわやか海響館(用途:ヘルスケア施設、受入価格899百万円)
さわやか鳴水館(用途:ヘルスケア施設、受入価格813百万円)
ニチイケアセンター福島大森(用途:ヘルスケア施設、受入価格337百万円)
さわやか日の出館(用途:ヘルスケア施設、受入価格896百万円)
さわやか大畠参番館(用途:ヘルスケア施設、受入価格349百万円)
さわやかリバーサイド栗の木(用途:ヘルスケア施設、受入価格306百万円)
シルバーハイツ羊ヶ丘3番館(用途:ヘルスケア施設、受入価格1,330百万円)
アルファリビング岡山西川緑道公園(用途:ヘルスケア施設、受入価格789百万円)
アルファリビング岡山後楽園(用途:ヘルスケア施設、受入価格661百万円)
アルファリビング高松駅前(用途:ヘルスケア施設、受入価格642百万円)
アルファリビング高松百間町(用途:ヘルスケア施設、受入価格628百万円)
(合計受入価格24,241百万円)


2020年9月期取得物件一覧(上記以外)

グランカーサ文京千石(用途:賃貸住宅、取得価格1,480百万円)
グランカーサ日本橋浜町(用途:賃貸住宅、取得価格930百万円)
イリーゼ狛江・別邸(準共有持分70%)(用途:ヘルスケア施設、取得価格920百万円)
AIP勝どき駅前ビル(用途:ヘルスケア施設、取得価格8,150百万円)
プレザングラン南雪谷(用途:ヘルスケア施設、取得価格3,380百万円)
あいらの杜 東大船(用途:ヘルスケア施設、取得価格2,271百万円)
あいらの杜 石神井公園(用途:ヘルスケア施設、取得価格2,070百万円)
あいらの杜 江戸川篠崎(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,499百万円)
シニアフォレスト横浜都筑(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,202百万円)
そんぽの家 豊中南曽根(用途:ヘルスケア施設、取得価格825百万円)
グッドタイムリビングセンター南・プラテシア センター南(用途:ヘルスケア施設、取得価格11,150百万円)
グッドタイムリビング千葉みなと/海岸通・プラテシア 千葉みなと(用途:ヘルスケア施設、取得価格4,516百万円)
グッドタイムリビング横浜都筑(用途:ヘルスケア施設、取得価格4,064百万円)
グッドタイムリビング千里ひなたが丘(用途:ヘルスケア施設、取得価格2,800百万円)
グッドタイムリビングなかもず(用途:ヘルスケア施設、取得価格2,180百万円)
グッドタイムリビング香里ヶ丘(用途:ヘルスケア施設、取得価格2,120百万円)
グッドタイムリビング亀戸(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,860百万円)
グッドタイムリビング御影(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,820百万円)
グッドタイムリビング尼崎新都心(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,585百万円)
グッドタイムリビング南千里(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,430百万円)
グッドタイムリビング神戸垂水 (用途:ヘルスケア施設、取得価格1,370百万円)
グッドタイムリビング千葉みなと/駅前通(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,320百万円)
グッドタイムリビング泉北泉ヶ丘(用途:ヘルスケア施設、取得価格980百万円)
グッドタイムリビング池田緑丘(用途:ヘルスケア施設、取得価格920百万円)
グッドタイムリビング長津田みなみ台(用途:ヘルスケア施設、取得価格850百万円)
グッドタイムリビング埼玉蓮田(用途:ヘルスケア施設、取得価格659百万円)
グッドタイムリビング流山壱番館(用途:ヘルスケア施設、取得価格610百万円)
グッドタイムリビング流山弐番館(用途:ヘルスケア施設、取得価格563百万円)
グッドタイムリビング尼崎駅前(用途:ヘルスケア施設、取得価格320百万円)
アルファリビング高松紺屋町(用途:ヘルスケア施設、取得価格1,225百万円)
(合計取得価格65,070百万円)


2020年9月期売却物件一覧

willDo越谷(譲渡価格:575百万円、売却損益:148百万円)
サイトピア(譲渡価格:456百万円、売却損益:▲24百万円)
エクセルシオール栄(譲渡価格:545百万円、売却損益:▲50百万円)
willDo日比野(譲渡価格:311百万円、売却損益:40百万円)
willDo新座(譲渡価格:585百万円、売却損益:38百万円)
willDo稲永(譲渡価格:648百万円、売却損益:115百万円)
willDo四日市鵜の森(譲渡価格:563百万円、売却損益:137百万円)
アブレスト桜川(譲渡価格:507百万円、売却損益:164百万円)
プロスペクト美章園(譲渡価格:330百万円、売却損益:79百万円)
入間駅前ビル(譲渡価格:1,730百万円、売却損益:162百万円)
入間駅前第二ビル(譲渡価格:648百万円、売却損益:▲112百万円)
シェモア桜ヶ丘(譲渡価格:634百万円、売却損益:14百万円)
コリンヌ津田沼(譲渡価格:348百万円、売却損益:▲35百万円)
茅ヶ崎ダイカンプラザ(譲渡価格:483百万円、売却損益:23百万円)
ウィンベルコーラス平塚第13(譲渡価格:358百万円、売却損益:▲101百万円)
プロスペクト桂(譲渡価格:480百万円、売却損益:42百万円)
willDo北24条(譲渡価格:286百万円、売却損益:20百万円)
グランカーサ南13条(譲渡価格:406百万円、売却損益:▲44百万円)
グランカーサ南9条(譲渡価格:461百万円、売却損益:▲57百万円)
willDo西下台町(譲渡価格:593百万円、売却損益:130百万円)
グランメゾン七福(譲渡価格:300百万円、売却損益:▲27百万円)
リビングステージ東仙台(譲渡価格:363百万円、売却損益:76百万円)
ロイヤルガーデン森林公園(譲渡価格:280百万円、売却損益:▲77百万円)
グリーンパーク小松島(譲渡価格:421百万円、売却損益:▲63百万円)
ダイアパレス泉崎(譲渡価格:316百万円、売却損益:▲42百万円)
リビングステージ南仙台(譲渡価格:222百万円、売却損益:73百万円)
高砂関弐番館(譲渡価格:757百万円、売却損益:203百万円)

 管理・運用面は前期に続き、『日次稼働率予測システム』の活用や既存諸施策等に引き続き注力した結果、期中平均稼働率は98.6%(前期は98.2%)となりました。また、入替え時賃料の増額にも引き続き注力した結果、当期は、総件数1,062件のうち846件で前賃料比の増額を実現し、件数ベースの上昇比率が79.6%、賃料ベースの上昇が+1.7%(前期は+2.1%)と前期に続いて上昇傾向を維持し、増収に寄与しました。
 賃貸事業費用につきましては、高額工事承認委員会を通した修繕費及び再商品化工事費用の抑制やLED照明の導入効果等による水道光熱費の削減等の既存諸施策に注力しました。
 ヘルスケア施設において、安定的な収益を獲得し、投資主価値の維持・向上に資するために、運営主体であるオペレーターの信用力、運営力等が安定稼働を実現する上で重要な要素であると考えており、オペレーターへのモニタリングを実施しています。当期は新型コロナウイルス感染の影響も鑑みて、施設への訪問を控えWeb会議システムを利用した面談を施設管理者や本社担当者と実施し、ヒアリング等を行っています。新型コロナウイルス感染については1施設で2020年6月1日に感染者が発生したものの、行政と連携した迅速な対応により感染拡大を阻止しています。2020年9月期の投資法人の実績は、営業収益11,645百万円、営業利益4,860百万円、経常利益5,031百万円、当期純利益は、6,133百万円となりました。
 埼玉県や神奈川県の物件も混じっていますが、地方の売り辛い物件をまとめて処分したという印象です。立地上のポートフォリオを地震リスクを分散するためには有効な手だてですが、今はそれよりも収益の安定性が大事。回復が難しい物件を買い手がいるうちに売却することはポジティブに捉えるべきかと思います。


大量の物件受入れ・取得もLTVは1.8%減少、DSCRは4.1%上昇

 投資法人は、借入期間の一層の長期化、返済期日の分散化、変動金利の固定化を図り、今後とも強固なバンクフォーメーションの維持に努めていくことで安定した資金調達を図ってまいります。なお、有利子負債の水準については、資金余力の確保に留意した設定とし、原則として60%を上限として運用を行っていきます。これにより、環境の変化に耐えうる財務基盤の構築を図ることを財務戦略としています。
 2020年9月期の財務面については、2020年4月1日の合併により日本ヘルスケア投資法人の借入金9,800百万円を承継しました。2020年4月2日に既存取引行より総額27,300百万円の借入を行い、新規物件の取得資金に充当しました。2020年9月期中に返済期日を迎えた銀行借入金総額9,349百万円(返済期日2020年4月30日、同2020年5月29日及び2020年7月22日)の銀行借入れについて、既存取引行及び新規取引行にて借換えを行い、2020年9月期期に償還期日を迎えた第2回投資法人債1,700百万円(償還期日2020年7月28日)については、既存取引行より同額の借入れを行い、償還資金に充当しました。その結果、投資法人の2020年9月期末時点の有利子負債の平均残存年数は、4.11年となり、LTVは49.2%に、長期有利子負債比率は83.8%に、金利固定化比率は65.1%になりました。金利固定化比率が低い状況が続いていますが、無理に金利スワップ契約を締結することを選択するよりは潔い戦略だと感じます。
 
 合併が発表された時には日本ヘルスケア投資法人の物件を時価で取得することになるため正ののれんが発生することを疑いましたが、実際は負ののれんを発生させることができたため、正ののれんの償却が投資家さんの分配金が減少することはなくなりました。コロナウイルスの影響で鑑定評価額の伸長も止まったことも影響していると考えられます。負ののれんが1,102百万円発生し、当期純利益のうち一時差異等調整積立金として1,198百万円を積立てるということなので負ののれんをほぼ積み立てていますが、経済状況としては芳しくないのでもう少し取り崩して分配金に充てて欲しかったと思います。