2020年12月15日に積水ハウス・リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が1,664円のところ1,685円で着地しました。

投資口価格は回復してきたもののまだ割安
20201226積水ハウス・リート投資法人NAV倍率推移

 2020年10月期は外部成長の動きはありませんでした。積水ハウス・リート投資法人がポートフォリオの中核資産として位置付けているポートフォリオの約93%(取得価格ベース)を構成する住居及びオフィスビルについて、住居は、緊急事態宣言期間中において移動自粛要請の影響からリーシング活動が一時的に停滞した結果、新規契約申込数や契約数は減少したもののその後は持ち直しの動きをみせ、また、オフィスビルは、概ね良好な需給環境が継続し賃貸需要は堅調に推移しました。

 一方、投資法人のポートフォリオの約7%(取得価格ベース)を構成するホテルについては、新型コロナウイルス感染症の拡大に対する各国の渡航・入国規制に伴い世界的な旅行需要は停滞し、また、国内自粛の影響が残ることから厳しい状況が続いていいるということです。2020期末において投資法人が保有する物件は121物件(居住用不動産:113物件、商業用不動産等:8物件)取得価格の合計は532,910百万円(居住用不動産:248,090百万円、商業用不動産等:284,820百万円)となっています。2020期の実績は、営業収益14,826百万円、営業利益7,868百万円、経常利益6,993百万円となり、当期純利益は6,992百万円となりました。

 レジデンス系J-REITは強力な銘柄が多いため積水ハウス・リート投資法人は地味に思われがちですが、まだまだ割安なレベルだと思います。今後は商業施設の運用戦略をどう整理していくが問題となりそうです。コロナ環境下でなければ大きな収益源になり得たはずなのでテナントを入れ替えるか、商業施設は売却しレジデンスに更に傾倒していくか考えどころです。


レンダーからの評価は変わらず15,000百万円のコミットメントラインの再度締結に成功
 
 財務戦略は中長期的に安定収益の確保及び投資主価値の向上のために安定的かつ健全な財務運営を行っていく方針を採っています。具体的には、スポンサーである積水ハウスの信用力を背景にメガバンク中心の国内有力金融機関との強固かつ安定的な取引関係を築くとともに、固定金利及び変動金利の最適なバランスを図りつつ、借入期間の長期化を検討し、返済期限の分散化等を図ることで、リファイナンスリスクや金利変動リスクを低減していくとしています。LTVについては、60%を上限の目処としていますが、当面は50%程度を上限の目処とした保守的な運営方針とし、巡航水準を40%台半ばとして資金余力の確保に留意しながら運営するとしています。

 2020年10月期はというと、返済期日が到来した借入金の返済及び2020年4月20日に調達した短期借入金の長期固定化を目的とした総額20,200百万円のリファイナンスを行うとともに、2020年9月9日付でグリーンボンド(第7回投資法人債、年限5年、発行総額4,000百万円及び第8回投資法人債、年限10年、発行総額4,000百万円)を発行し、2020年5月29日に調達した長期借入金の期限前返済に充当しました。この結果、2020年10月期の有利子負債残高は249,942百万円となり、LTVは45.1%となっています。なお、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、2020年10月27日付で、極度額15,000百万円のコミットメントライン契約を再度締結しました。