パイプラン契約、スポンサーサポート契約など各投資法人によって表現の仕方はいろいろありますが各投資法人がオフィス、レジデンス、リテール(商業施設)、ホテル、シニア、物流施設いろいろあってもスポンサーのお行うJ-REITにおける仕事は「どこも同じ」です。


①J-REIT(投資法人)に物件を売却し売却益を稼ぐ

 不動産業界にいらっしゃる方であればご存じだと思いますが、AM会社の売買担当者に物件を紹介したところで購入を検討していただけるケースは滅多にありません。物件取得を検討するのはAM会社の親会社(スポンサー)であるためです。投資法人は通常分配金で利益の90%超を配当しなくてはならないため物件購入資金に回せるお金が無いのが一般的です。そのため投資法人が物件を取得するのは増資か新規にローンを調達することに限られる訳です。
 その増資の準備・環境が整うまで、またはローンの調達の目途がつくまで物件を持っていて上げるよ!というのが一般的なパイプライン契約の内容です。他社の物件をスポンサーが購入し、今度はスポンサーがその物件をJ-REITに売却するのです。投資法人からすると売主との間に余計に1社入ることになるため必然的に物件を「高値買い」している訳です。
 投資法人は鑑定評価額(時価)以上の金額で購入できないとルール決めしている投資法人が多いのですが、今の環境はすべてのJ-REITが簿価、取得価格よりも鑑定評価額が上回っています。
 つまり極端な話をすれば、スポンサーは鑑定評価額で売り付けることができるのです。さて、ここで一つ問題です。スポンサーが鑑定評価額で購入することを要求してきた場合、投資法人のAM会社はどうするのでしょうか。スポンサーの子会社であるAM会社が「そんな高額では買えません」と言えると思いますか?
 
 スポンサーにとって投資法人はこれ以上ない優良な顧客ということです。

 しかし、怒ってはいけません。スポンサーの株式を保有している投資家にとっては確実に高く物件を購入できる先があるのに売却しないということは善管注意義務に違反するとみなす可能性もあります。スポンサーの投資家様はどんどん物件を投資法人に売り付けて欲しいという心理が生まれる訳です。


②投資法人のなんとなく資金調達に何となく協力する

 AM会社がレンダーにローンの申し込みをする場合、格付け会社に格付検討資料を提出する際などになんとなく協力します。J-REITの規模拡大のためにこんなに物件準備して持ってますよ~、こんなに安定している会社なんです~。というところをアピールし、資金調達がスムーズに進むよう協力します。

 J-REITは投信協会などがHPで公表するように決して透明性の高い投資商品でも、開かれた業界でもありません。コンプライアンスやサスティナビリティに注力している投資法人が存在するのも事実ですがそれは一部のみです。しかし、そういう業界の方達ですので自分の身を守ることに関していはズバ抜けた才能があるのが特徴でもあります。
 それでも6ヶ月に1度は配当してくれるので良しとするかどうかは投資家の判断に委ねられることになります。