2016年8月31日に一五不動産情報サービスよりマーケットレポートが公表されたので抜粋してご紹介
します。

東京圏の賃貸マーケット動向
 
 2016年7月の東京圏の空室率は4.4%となり、前期(16年4月)の4.6%から0.2ポイント低下しました。
今期(16年5月~7月)は新たに9棟が竣工し新規供給は47.3万㎡と比較的高い水準となり、新規需要も堅調で新規供給を若干上回る48.1万㎡となりました。また、今期はテナントが確定しているBTS型物流施設の竣工が多かったこと、複数のマルチテナント型物流施設で稼働率が向上したことで、2四半期連続での需給改善となりました。
20160906東京圏物流マーケット
 BTS型とは入居予定テナントの要望に応じて建築された施設を言います。単にB型と言われることもあります。マルチテナント型の物流施設の場合、契約期間が5年であることが一般的ですがテナントに合わせて建設することで長期で賃貸借契約を結ぶことが可能になります。
 一方、リスクとして退去された場合はリーシングがマルチテナント型に比べ難しいことが上げられます。

20160906東京圏募集賃料
 2016年7月の東京圏の募集賃料は4,000円/坪で、前期から横ばいとなった。東京圏では2013年1月の3,800円/坪を底に募集賃料の上昇が続き、2014年7月以降は概ね4,000円/坪前後で推移しています。
 上述の通り、東京圏では高機能型物流施設に対する引き合いは堅調で、既存物件の空室消化も概ね順調である。そのため、新規開発が活発なうえ、開発エリアも広域化している。東京圏全体の募集賃料は上がりにくい市場環境が続きそうです。

関西圏の賃貸マーケット動向


 2016年7月の関西圏の空室率は3.6%となり、前期の1.4%から2.2ポイントの上昇となりしまた。
今期(16年5月~7月)の新規供給は21.9万㎡で、2008年7月の調査開始以来で最大となりました。また、新規需要は14.1万㎡で、新規供給の6割強の水準に留まったため、需給バランスの緩和に繋がり
ました。
20160906関西圏物流マーケット 
 2016年7月の関西圏の募集賃料は3,390円/坪で、前期から横ばいとなった。関西圏の募集賃料は2015年7月の3,560円/坪をピークに3四半期連続で下落していたが、今期で下げ止まった。関西圏ではこれから大量供給を迎える。上述の通り、物流用地の供給に繋がる土地区画整理事業や産業団地の造成が相次いでいる。そのため、大量供給の収束時期が見えにくく、関西圏全体の募集賃料の上昇は厳しくなりそうです。

20160906関西圏募集賃料
 物流系J-REITのテナントポートフォリオ戦略は物件の開発前にテナントを見つけるところから既に始まっています。スポンサーと一体となりJ-REITの投資家に貢献しているところが他アセットタイプのJ-REITよりも信用力が高いと観ることができます。