三菱商事が不動産私募ファンドを相次いで組成する計画が発表されました。2016年11月4日の第2四半期決算発表で明らかになりました。運用規模は最大で370億円で、東京都心部の商業施設、ホテルに投資します。また、米国・アジア・ヨーロッパの不動産で運用するファンドも2017年以降に立ち上げる計画です。

 実際のAM業務は三菱商事の子会社であるダイヤモンド・リアルティ・マネジメントが行います。既に企業年金や地方銀行、大学など約10の投資家が185億円を出資したそうです。運用額は2018年1月末までに最大で370億円まで増やす見通しです。ダイヤモンド・リアルティ・マネジメントとしては5例目で、運用規模は最大となります。

 また、商業施設・物流センター・ホテルの新規開発を対象にメザニンローンに投資する年5%程度の利回りを想定するファンドも設立します。メザニンですので通常の融資よりも返済順位が低くなるため国債への投資と比べるとリスクは大きくなります。しかし、マイナス金利で運用難が強まる中で機関投資家の受け皿となることを目指しているそうです。

 地方銀行が食いついたのは納得できましたが、大学もJ-REITや私募ファンドに興味があっとということは少し驚きました。ですが、大学は肝心の運用成果を示す指標を公表していないところが多い(知られたくない)です。特に私立大学でその傾向が強いです。そのため上場せずに「私募」という形で運用していく投資商品に魅力を感じたことには納得がいきます。

 今後の不動産マーケットは「再開発」がキーポイントになると思います。東京都心部でも再開発を行われるところは価値が上がることが予想されるためJ-REIT、私募ファンドの各AM会社は今後の物件取得をより選別していくことが求められると思います。この流れの中で淘汰される投資法人が出てくる可能性も有りますので2017年~2019年当たりまではAM会社の運用力が問われる時代になると思います。