2016年10月19日に三菱UFJリースと日本政策投資銀行と介護分野に特化した投資ファンドを設立することになりました。名称は「トリニティヘルスケアⅡ投資事業有限責任組合」です。総資産額は250億円で介護・医療分野の私募ファンドとしては国内最大規模です。物件に対しての投資ではなく劣後ローンを別の介護・医療施設を運営するファンドに貸付け、利息収入を上げるファンドのようです。

再生型の債権への投資、不動産流動化にも取り組む

 劣後ローンの提供だけでなく、再生中の介護・医療の施設に対する債権への投資や、運営施設の流動化(オフバランスさせる)ことにも取り組む方針であるようです。流動化の出口戦略がJ-REITを想定しています。2016年11月時点ではシニア系J-REITは3社有りますのでその中のどれかに売却することになるのだと思います。

 日本政策投資銀行が絡む案件なのでシニア系J-REITの投資家の分配金にマイナス影響を与えるような質の悪い物件を買わせようとすることは無いと思いますが、ヘルスケア施設は入居者がお年寄りや障害者などになるため安易に入居一時金や、入居賃料などを上げることが難しいこと、また分配金の上昇などもアピールにしくいという問題がありますので内部成長はあまり期待出来ないと思います。

 同ファンドの運用会社はヘルスケアマネジメントパートナーズ㈱という三菱UFJリースと日本政策投資銀行が共同で設立した運用会社で約10年程度は運用実績があるようです。


三菱UFJリースと日本政策投資銀行の今後の展開

 三菱UFJリースと日本政策投資銀行そしてヘルスケアマネジメントパートナーズは3社は今後も病院・介護施設の設備強化や経営の安定化に向けた支援を行う方針でおり、同種のファンドやシニア系J-REITが実行していなかった案件に資金を投入する考えを持っています。このことから老人ホームなどの介護施設よりも病院やリハビリ施設などより「病院色」の強いアセットを扱う可能性が高いと思います。

 医療機関はリースで設備を購入することも多く三菱UFJリースが如何に良い案件を持ってくることが出来るのかというのがポイントになりそうです。日本政策投資銀行は資金は出しますが情報などのサポートは一切無いですし、ヘルスケアマネジメントパートナーズは運用だけでしょうから三菱UFJリースに期待するしかなさそうですね。しかし、J-REIT市場でのアセットタイプが増えることはJ-REITの運用におけるバリエーションも増えることになるので個人的には嬉しい話しですね。