2016年12月14日に日銀から業況判断D.Iが公開されましたので公開致します。
20161215日銀短観2

(大企業)
 大企業製造業の業況判断D.I.は10と前回調査から4ポイント改善しました。業種別では、全16業種中、改善が9業種と悪化の4業種を大きく上回りました(横ばいが2業種)。
 国際商品市況改善が収益改善に働く石油・石炭製品(17ポイント改善)、非鉄金属(12ポイント改善)のほか、円安が輸出採算改善に繋がる電気機械(9ポイント改善)、はん用機械(8ポイント改善)、自動車(2ポイント改善)などが牽引役となった。一方で、国際的な船余りに苦しむ造船・重機等(7ポイント悪化)や石炭・鉄鉱石価格上昇の圧迫を受ける鉄鋼(7ポイント悪化)が全体の伸びを抑制しました。
 先行きについては、悪化が7業種と改善の6業種をやや上回り、全体の景況感も現状比2ポイント悪化しました。原料輸入が多く、円安が逆風になりやすい木材・木製品(12ポイント悪化)、紙・パルプ(7ポイント悪化)のほか、足元で牽引役となった石油・石炭製品、非鉄金属の悪化が顕著になっています。

 大企業非製造業のD.I.は18で前回と変わらず。業種別では、全12業種中、悪化が6業種と改善の5業種をやや上回った。電気・ガス(5ポイント改善)、対事業所サービス(4ポイント改善)などで持ち直しがみられる一方、インバウンド消費鈍化の影響を受ける小売(4ポイント悪化)と宿泊・飲食サービス(4ポイント悪化)、対個人サービス(3ポイント悪化)などで悪化が目立ちました。

 先行きについては、悪化が9業種と改善の2業種を大きく上回り、全体では2ポイントの悪化となった。小売や宿泊・飲食サービスでは持ち直しが見込まれているものの、これまで底堅く推移してきた建設(11ポイント悪化)、不動産(6ポイント悪化)、対事業所サービス(6ポイント悪化)などで大幅な悪化が見込まれている。不動産が悪化していますがもともと高い水準にあったことでこれ以上の好環境になりずらいという見方が不動産業界で広まっていることが挙げられます。
 20161215日銀短観

(中小企業)
 中小企業製造業の業況判断D.I.は1で前回から4ポイント改善した。業種別では全16業種中、改善が11業種と、悪化の5業種を上回った。業種別では、大企業同様、市況改善を受けた石油・石炭製品(12ポイント改善)、非鉄金属(10ポイント改善)、円安のメリットを受けやすい電気機械(9ポイント改善)、自動車(11ポイント改善)などで改善が目立った。
 先行きについては、横ばいの紙・パを除く15悪化が悪化を見込み、全体では5ポイントの悪化となった。総崩れの様相だが、とりわけ木材・木製品(13ポイント悪化)、石油・石炭製品(11ポイント悪化)で大幅な悪化が見込まれている。

 中小企業非製造業のD.I.は2と前回比1ポイント改善した。業種別では全12業種中、改善が7業種と悪化の2業種を上回った(横ばいが2業種)。不動産(5ポイント改善)や通信(5ポイント改善)などが改善する一方、電気・ガス(2ポイント悪化)、対事業所サービス(1ポイント悪化)が悪化した。

 先行きは、悪化が9業種と改善の3業種を大きく上回り、全体では4ポイントの悪化となった。建設(7ポイント悪化)、不動産(6ポイント悪化)、宿泊・飲食サービス(6ポイント悪化)などで大幅な悪化が見込まれている。 中小企業においても、不動産は悪化しています。中小不動産企業の場合、住居の賃貸が主体として経営していることが多いです。東京圏の場合、マンション、アパートが供給過多になっているという現状に対しどう対応するかまだ戦略として結論を出せていない企業が多いことが考えられます。