名古屋市は日銀短観2016年6月の調査によると、2015年度の東海の設備投資は、全産業で前年比+14.2%と大幅に増加しました。製造業が同+17.2%、非製造業が同+10.7%といずれも大幅に増加した。2016年度は製造業が同+11.8%、非製造業も同+11.7%と増加、全産業でも同+11.8%と大幅増が続く計画である。業種別では、鉄鋼、金属製品、生産用機械、その他輸送用機械、運輸・郵便などで大幅増を見込んでいます。

 財務省「法人企業景気予測調査(6 月)」を見ても、2016年度の東海企業の設備投資計画は、製造業同+11.2%、非製造業同+23.4%、全産業同+16.2%と大幅増の計画になっています。

 しかし、日銀短観、法人企業景気予測調査のいずれの場合も、例年 6 月調査での計画は高めの数字となる傾向があり、期が進むにつれ下方修正がなされることが多いことに注意が必要です。


名古屋市のオフィス環境

 名古屋市のオフィス市場では、名古屋駅前での大規模ビル2棟の大量供給にも関わらず、2015年はバブル崩壊後で最大規模の賃貸面積の増加となった。その多くは駅前の供給に吸収されたが、伏見地区や丸の内地区でも賃貸面積の純増が見られるなど、名古屋のオフィス需要は堅調に推移しています。オフィス賃料は今後、上昇と下落を2~3年単位で繰り返す小さな振幅が予測された。大規模ビルの竣工による二次空室、三次空室の影響も多少出てくると思われますが、名古屋市への転入超過数の景気との連動性の高さを考えると、景気の堅調が続く限り、現在の拡張移転や館内増床、郊外エリアや自社ビルからの移転などの動きによるオフィス需要の拡大は、継続すると考えられるのです。


名古屋市のレジデンス環境

 名古屋を含めた東海の住宅着工は2015 年に入ってからは、前半に持ち直し基調となり、後半以降は均してみると横ばい圏で推移しています。また、内閣府「地域別民間住宅総合指数」は、進捗ベースで計測するため着工に遅行した動きとなり、県民経済計算の住宅投資に近い動きをするとみられます。同指数を見ると、2014年 7-9 月期を底に持ち直した後、2015 年 7-9 月期をピークに弱含みの実績になっています。特に愛知県では新築マンションの供給が減少傾向となっており、2015年は4000戸を割り込み直近10年間で最も少なくなりました。坪単価は逆に上昇を続けており、2015年は直近10年間で最も高い180万円台にアップしています。名古屋市には供給が集中しており、豊田市や安城市など周辺エリアの供給が減っています。名古屋市のなかでも人気の高い地下鉄名城線の沿線や内側のエリアで供給が活発なため、平均の坪単価が上昇しています。中古物件も流通物件数が減ってきており、坪単価は上昇傾向になっています。
20170105名古屋マンション市況

 名古屋駅前の大規模ビルなどで需要が堅調な一方、わずかながら栄地区の空室面積が増加していることや、小型ビルの空室率の改善が停滞を始めるなど、回復の状況には二極化の兆候も見え始めています。地区間格差や規模間格差・築年格差が深刻化しないためには、オフィス需要のさらなる拡大に加え、築古ビルの建替えやインバウンド需要などを狙った用途転換などのが進んでいくと考えられます。