太陽光ビジネスについてFIT価格が年々減少していく状況で出力制限なども相まって悲観的な展望を聞く機会が多くなりました。特に「マーケットの縮小」「太陽光関連企業の倒産」が理由として上げられるのでこの2点がインフラファンド市場に影響するか考えてみました。

ネガティブ情報①太陽光発電市場のマーケットは縮小する

 富士経済の「2017タッチパネル/フレキシブルディスプレイと構成部材市場の将来展望」でもネガティブな情報が予想されています。
URL https://www.fuji-keizai.co.jp/

 2016年度の再エネ発電設備・施設の市場は、太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱の5分野合計で約3兆3,000万円を予想しています。そのうち太陽光関連(パネル、パワコン、蓄電池、関連サービスなど)が約2兆2,700万円と約7割を占める。改正再エネ特措法の新認定制度が2017年度から開始されることを受け、大型特高案件を中心に駆け込み着工が発生しており、2018年頃までこの竣工が続くと予想しています。本調査は今後、太陽光発電システム市場の縮小傾向が継続することを予測。売電事業用の高圧/特高案件着工の激減を予測し、これに引っ張られる形で2020年度の太陽光発電システム市場は約1兆円と、2015年度比で64.7%の減少を予測しています。

 また、風力発電システムでは中・大型陸上風力発電システムの運転開始や、大規模な洋上風力発電所が複数計画されており、今後の市場拡大を予測。水力では小中規模発電が引率する形で2017年度までは、バイオマスでは木質系などの大型案件により2018年度にかけて、それぞれ市場拡大を予測しており、「太陽光の圧倒的割合」は、これから5年間で急速に圧縮されるとしています。私も電力買取価格が減少しているため太陽光発電市場が縮小することは間違いないと思います。風力発電市場も2018年度以降は太陽光発電市場のように次第に先細っていくことになると推察します。ただ減少スピードは太陽光発電市場よりもゆっくりとしたものになると思います。風力発電システムは風車という特性上、法人しか建設・運用することが出来ず太陽光発電市場よりも算入障壁は高いと考えられます。2017年1月現在上場中のインフラファンドは規約等で風力発電設備も購入出来るように記載しています。特に洋上風力については36円/kWhをキープしているため購入を検討していくものと考えられます。太陽光発電システムについては固定価格が決定している稼働中の設備を購入する戦略を採る可能性も有ります。
20170111FIT買取価格

【出典:再生可能エネルギーの固定価格買取制度ガイドブック】


ネガティブ情報②太陽光関連企業の倒産が増加している
 
 調査会社の東京商工リサーチの情報などによると太陽光関連企業の動向によると、2016年の太陽光関連企業の倒産件数が2000年の調査開始以来、過去最多であるとしています。固定買い取り価格の引き下げに加え、新規参入が相次ぎ競争が激化しているということが主な要因と考えられます。太陽光システム装置の製造、販売、設置工事、コンサルティング、売買電事業などを手掛ける企業の動向は2016年の太陽光関連企業の倒産件数は65件。上半期の時点で2014年までの年間倒産件数を上回る30件が倒産していました。

 倒産の理由は、「販売不振」が最も多く、約半数となる35件。次いで「事業上の失敗」が11件、「運転資金の欠乏」が8件でした。倒産した企業は十分な財務基盤を持たず、太陽光関連市場を成長分野と判断して参入したものの、想定よりも市場が拡大せず、予想通りの受注を獲得できずに行き詰まるケースが多いという結果になりました。東京商工リサーチは、「2017年もこの傾向が続き、太陽光関連事業者の倒産が2016年以上のペースで進む危険性がある」と予測しています。

 しかし、これはかつて介護の分野でも同様のことが有りました。「2000年に介護保険制度がスタートしてから、『今後、高齢者は増えるので介護は儲かる』と思い込み介護事業の知識やノウハウがないで企業が大量に参入し介護事業者、老人ホームが多数倒産しました。太陽光関連企業の倒産に介護分野で起こったそれに似ています。大した財務基盤を持たない企業に投資法人が設備管理を委託するリスクは低いと考えられますのでインフラファンド市場には悪影響を及ぼす可能性はかなり限定的なものになると思います。


まとめ。インフラファンドの展望は未だ未知数だということ
 
 2016年10月位から太陽光発電へのネガティブな意見を多数お伺いします。太陽光発電が不況=インフラファンドが不況という訳では無いのでそこはしっかりとご留意頂く必要があると思います。インフラファンドとして上場しているタカラレーベン・インフラ投資法人やいちごグリーンインフラ投資法人がたまたま太陽光発電設備を運用していることから太陽光発電=インフラと思ってしまいますが、2投資法人ともあくまでも「再生可能エネルギー設備等」に投資・運用することを唄っているため風力発電・地熱発電・潮力発電などの設備も含まれることになります。インフラファンドは今後どのようなバリエーションの再生可能エネルギー設備を運用していくかで特徴を出していく流れになると予想します。