2017年3月13日の投資法人の決算が発表されました。
当初の予想一口当たり分配金が2,360円のところ2,440円で着地しました。

未来は明るいのだがイマイチ動きが遅い
20170325ヘルスケア&メディカルNOI推移

 2017年1月期は新規取得も売却も無くNOI利回りは若干向上(5.537%→5.584%)で推移しています。ただホテルや商業施設等と違い、賃料増額を安易に望めるアセットではないため、NOI利回りや賃貸事業利益率などの数値を下げずに運用できるという守りに近い運用スタイルになっているのが特徴です。2017年1月期末現在18物件を保有しており、総賃貸可能面積72,638.45㎡、総テナント数20テナントとなっています。

  日本経済再生本部の「日本再興戦略~JAPAN is BACK~」の中で、高齢者等が安心して歩いて暮らせるまちづくりの一環として、「民間資金の活用を図るため、ヘルスケアリートの活用に向け、高齢者向け 住宅等の取得・運用に関するガイドラインの整備」を行うとの方針を公表しました。この方針を受け、国土交通省は、2014年6月27日に「高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用 に係るガイドライン」、続いて2015年6月26日に「病院不動産を対象とするリートに係るガイドライン」を公表 し、一定の経験を有する重要な使用人の配置等、ヘルスケア施設の取引に際し留意すべき事項を示しています。こ れらのガイドラインが整備されたことにより、オペレーターがヘルスケアリートを活用する機会は今後増えていくものと考えているようです。

 国の戦略・法律の整備という側面から見るとシニア系J-REITの未来は明るいのですが、肝心の投資法人の動きが鈍いですよね。これはヘルスケア&メディカル投資法人だけでなく、日本ヘルスケア投資法人、ジャパン・ニシアリビング投資法人にも言えることです。確かにオフィスやレジデンスに引っ張られる形で不動産マーケットも以前高いままですし、既に稼働済みの物件であってもJ-REITが取得するには、資産規模・利回りといった点が運用ガイドラインにヒットする数値では無いといった所だと思います。

 日本は確実に少子化の道を歩んでいますし、その事態について国も施策を講じていますし、大阪府等では老人ホーム等の建設を計画的に取り組んでいます。私は引き続き中長期的には一番将来性のあるJ-REIT銘柄の一つであると考えています。

シニア系J-REITの資金調達はやっぱり難しいのかも

 資金調達について、ヘルスケア&メディカル投資法人は中長期的に安定した収益の確保及び資産価値の維持・向上のため、安定的な財務運営を行うこと を基本方針としています。
 2017年1月期におきましては、資金調達を行っておらず、2017年1月期末時点での出資総額は12,713百万 円、発行済投資口の総口数は120,500口、また、有利子負債は総額14,000百万円でLTVは50.2%となっています。 ヘルスケア&メディカル投資法人だけでなくシニア系J-REITは総じてDSCRが格段に高いのが特徴です。3つあるシニア系J-REITですべて20%を超える数値です。こればかりはレンダーに拠るところが大きいのですがSMBCや新生銀行が条件面では有利と考えて良さそうですね。