J-REITの登場人物の紹介その1です。

 投資法人とは、資産を主として特定資産に対する投資として運用することを目的として、この法律に基づき設立させた社団(投信法2条12)です。J-REITの場合は不動産及び不動産信託受益権等の不動産同等資産を主たる投資対象とする投資信託ということになります。


 私募ファンドの場合は私募REITの場合はSPCとして「投資法人」を利用しますが、特定目的会社(TMK)や匿名組合(TK-GK)などを使用することが一般的です。


 投資法人は多くの実務を他者に委託しなければいけません。投資法人には誰に何を委託するのかを決定する機関が設けられています。
 

投資法人の機関


 ①投資主総会


 投資主総会は株主総会に相当する機関です。主に執行役員及び監督役員の選任、会計監査人の選任、投資法人規約の変更、吸収合併契約の承認等(吸収合併存続法人、吸収合併消滅法人の場合)、新設合併契約の承認(新設合併消滅法人の場合)が挙げられます。


 また、投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)第95条には投資主総会以外の機関として以下の機関を置かなければならないとされています。

 1.一人又は二人以上の執行役員
 2.執行役員の員数に一を加えた数以上の監督役員
 3.役員会
 4.会計監査人


 ②執行役員及び監督役員


 取締役に相当する執行役、監査役に相当する監督役員です。多くの投資法人の場合1名の執行役員と2名の監督役員がいます。


 執行役員が最低1名、監督役員が最低2名必要でその任期は設立時を除き執行役員は2年監督役員は4年です。


 執行役員は公認会計士や税理士、弁護士、不動産鑑定士の資格を持つ人が選任される場合と資産運用会社(AM会社)の代表取締役が選任される場合が一般的です。


 ③役員会


 役員会はすべての執行役員及び監督役員で構成されます。(投信法第112条)役員会の主な業務は執行役員が重要な職務を執行しようとする場合の承認機関としての役割を担います。

執行役員が役員会の承認を受けなければならない事項は以下のような事項です。

 1.投資主総会の招集
 2.投信法第117条の規定による事務の委託
 3.投資法人債の管理に係る事務の委託
 4.合併のため投資口の払戻しの停止
 5.合併契約の締結
 6.資産の運用又は保管に係る委託契約の締結又は契約内容の変更
 7.資産運用報酬、資産保管手数料その他の資産の運用又は保管に係る費用の支払
 8.資産運用会社による資産の運用に係る委託契約の解約


 ※投信法117条には計算に関する事務や、投資主名簿・投資法人債原簿に関する事務等資産の運用及び保管に係る業務以外の業務に係る事務であって一定のものについては他の者に委託しなければなりません。

 ※8を行う場合は事前に投資主総会の承認を受けなければなりません。ただし、やむを得ない事由がある場合として内閣総理大臣の許可を得たときはこの限りではありません。
 
 役員会は実務上は資産運用会社(AM会社)で行われます。役員会の運営は資産運用会社(AM会社)が行う場合や信託銀行が行う場合など投資法人ごとに異なります。


 ④会計監査人(監査法人)


 会計監査人は以下に掲げる書類を監査し、内閣府令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければなりません。(投信法第115条の2)

 1.会計監査人は投資法人の計算書類、資産運用報告及び金銭の分配に係る計算書並びにこれらの附属明細書
 2.清算投資法人の財産目録等及び決算報告


 投資主総会において会計監査人(会計監査人が監査法人である場合は、その職務を行うべき社員。)の出席を求める決議があつたときは、会計監査人は、投資主総会に出席して意見を述べなければなりません。

 ※会計監査人(監査法人)についての詳細はJ-REITの仕組み⑦監査法人(会計監査人)をご覧下さい。


J-REITの仕組みバックナンバー

 J-REITの仕組み・投資法人スキーム
 
J-REITの仕組み②アセットマネジメント会社(AM会社)
 J-REITの仕組み③プロパティマネジメント会社(PM会社)
 J-REITの仕組み④レンダー(金融機関等)
 J-REITの仕組み⑤一般事務委託会社(会計事務)
 J-REITの仕組み⑥一般事務委託会社(証券事務)
 J-REITの仕組み⑦監査法人(会計監査人)
 J-REITの仕組み⑧資産保管会社