J-REITの登場人物の紹介その4です。
レンダーとは、投資法人と金銭消費貸借契約書を締結しローンを提供する金融機関や企業を指します。ただし、投資法人の場合は導管制要件を満たさなければ配当金相当額を税務上損金算入することができません。その導管制要件の中に借入金は機関投資家からのものであることという条件があります。
適格機関投資家と機関投資家
株式運用などを既に行っている投資家さんなら知っていると思いますが、金融商品取引法の定義で適格機関投資家という言葉があります。金融商品取引法上の適格機関投資家とは生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関などが該当します。
しかし、導管制要件を満たすには租税特別措置法上の機関投資家である必要があります。租税特別措置法上の機関投資家も生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関は大抵該当します。ただ、第一種金商業社などから借入れを行おうとする場合金商法では有価証券残高が10億円以上であれば機関投資家と認められますが、税務上は有価証券残高が100億円必要です。借入れを行う場合は普通銀行や信託銀行から借入れれば良いのですが、不景気時は普通銀行や信託銀行から借入れられるとは限らずノンバンクのような所から借入れるかもしれません。その時に安易に一定の規模がないと借入れができないようになっています。
有価証券残高の多い金融機関から借入れできないようにすることで投資家に対して信頼性を高めるための工夫があるということです。
J-REITの場合、契約で用いられるローンの種類はノンリコースローンというものです。簡単に言うと借入金の返済が不可能になっても担保を付した物件をレンダーに渡してしまえば借入金を完済しなくてもよいというローンです。
なんかいいですよね。完済しなくてもよいという響き。でもお金を貸すレンダーにとって大きなリスクですよね。銀行様がそんなリスクを追うということは当然金利は高くなります。
借入の形態としては上記のノンリコースローンですが、コミットメントライン契約、極度ローン契約などでもしもの資金需要に対応できるように安全性を確保している投資法人もあります。
格付けを取得した投資法人は株式会社の社債と同じように投資法人債を発行することができます。その投資法人債の引受けもメインのレンダーが引き受けることになります。
J-REITの仕組みバックナンバー
J-REITの仕組み・投資法人スキーム
J-REITの仕組み①投資法人
J-REITの仕組み②アセットマネジメント会社(AM会社)
J-REITの仕組み③プロパティマネジメント会社(PM会社)
J-REITの仕組み⑤一般事務委託会社(会計事務)
J-REITの仕組み⑥一般事務委託会社(証券事務)
J-REITの仕組み⑦監査法人(会計監査人)
J-REITの仕組み⑧資産保管会社
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