コンフォリアレジデンシャルの第10期の決算説明会資料を読んでいました。

稼働率のアピールはよく解ります。どこの投資法人もそうです。

稼働率が上昇→賃料アップと予想しやすいですからね。

「バリューアップ工事実施」もよくアピールされるところです。

しかし実際には写真がアップされているだけで投資家からするとどこがバリューアップかわかりにくい。

私は今後このバリューアップ工事を投資家にわかりやすく伝えることがIR上必要になってくると思っています。

どの投資法人の決算説明資料を見てもただ工事前の写真と工事後の写真が載せられているだけです。

つまり、その物件に賃借しているテナントでしかその工事の利便性、快適性を実感することが出来ません。


今日は各投資法人で行われる良くあるバリューアップ工事3パターンをご紹介します。


バリューアップの良くあるパターン


 ①共用部のリニューアル


 オフィスビルを運用するオフィス系J-REITを中心に行われる一般的な工事です。エントランスホールを明るくしてみたり、共用トイレを新しくすることによりテナントの内見時の印象を良くし入居を決定し安くすることを目的に行われます。また、オフィスビルが満室稼働の場合であっても賃料増額交渉を有利に行うためにテナント満足度を向上させるためテナントにアンケートを配布しテナントから要望の多い部分について工事するという場合も有ります。


 ②テナント(入居者)の使用設備の変更


 これはレジデンス系J-REITに多く見られるものでエアコンや給湯器などマンションの専有部に備え付けられている設備を新しいものに取り替える工事です。特にエアコンの場合は家庭での普及率は90%以上であり、毎年のように家電メーカーから新商品が発売されています。マンションの場合は近隣に競合するマンションも多いため入居者獲得のために競争力を維持する必要があるので必須の工事です。


 ③用途変更


 これもマンションでよく見られるもので、もともとは畳の和室であった部屋をフローリング床の洋室に変更する場合。だだっ広い部屋を間仕切り工事を行い小ぶりなワンルームに変更し実質的には賃料は下げずに入居者を呼び込むといったような入居予定者のニーズに合わせて工夫する工事がこれにあたります。
 稼働率が低すぎる駐車場をおもいきって取り壊し駐輪場とトランクルームに分けて構築するという場合も有ります。


 上記に挙げたこれらの工事は会計・税務処理上は資本的支出として固定資産の帳簿価額に算入され減価償却費を通じて毎期の損益に反映されます。資産運用報告書には当期の資本的支出として支出額が高額なものについては記載が有りますのでチェックしてみると良いと思います。


 ただ、投資法人の保有物件で行うバリューアップ工事はどこの投資法人も建設会社でよくある〇〇工法のように工事自体に特殊なノウハウが有るという訳では無いので注意が必要です。