固定資産税は現物物件にしろ、受益権にしろ物件を購入する際は必ず注意する必要があるポイントです。


固定資産税とは


 固定資産税は1月1日時点でその物件を所有していた者に係る地方税です。例えば2月1日に物件を購入した場合、2月1日~12月31日分を売主に支払います。しかしこの2月1日~12月31日分の固定資産税は税金ではないのです。つまりこの固定資産税を「租税公課」などの科目で費用処理できないのです。

 費用処理(税務上は損金処理)をして争った事例を抜粋し以下に記載します。地方税法上、賦課期日後に所有者に異動が生じたとしても課税関係に変動が生じるものではなく、同日後に固定資産の所有者となった者が納税義務を負うことはないと解釈。その上で、固定資産の売買後の期間に対応する未経過分の固定資産税等相当額が授受されたとしても、買主側の地方税法上の固定資産税等の納税義務に伴う負担とみることはできない
 (国税不服審判所、2012.07.05裁決)


 この固定資産税相当額の取り扱い。不動産売買を行う専門業者の方でもよく間違えます。
 
 J-REITの投資法人の場合物件を取得した最初の1年間は固定資産税が取得原価に参入されているため購入した物件の収益が多くなります。(稼働率が一定と課程した場合)しかし、翌年は1月1日に所有している状態になるので固定資産税は費用処理されます。物件購入初年度より収益が悪化することになるのです。



固定資産税の精算


 固定資産税は現物物件にしろ、受益権にしろ物件を購入する際は必ず注意する必要があります。裁判所の判例が何度「賦課期日後に固定資産の所有者となった者が納税義務を負うことはない」と言ったところで、実際の不動産の売買では固定資産税の精算は当たり前に行われます。

 
 固定資産税精算方法について2通りの事例が有ります。

 固定資産税について通常日割り計算にて精算を行いますが1月1日を起算日とする方法と4月1日を起算日とする方法があります。私は1月1日起算日しか経験は無いですが、4月1日起算日とするのは関西の不動産業者では多いいようです。確かに関西地方の物件では固定資産税の第1回目納付が4月なのでそのような考えになったのかもしれません