2017年4月15日更新

 投資法人が物件を取得する場合2つのパターンが有ります。「現物」で取得するか、「信託受益権」で取得するかです。通常、不動産を取得する場合は不動産取得税、登録免許税、取引に係る印紙税がかかります。これらの不動産の取得にかかる税金を総合して「流通税」と呼びます。
 
 信託受益権を買った側ですが、信託受益権は不動産ではありませんから、不動産取得税は課税されません。不動産取得税の税率は固定資産税評価額の3~4%ですから、固定資産税評価額が5,000万円の不動産を買った場合、150万・200万円の不動産取得税が課税されますが、信託受益権を買った場合は不動産取得税がかかりません。買い手にとってはかなりの節税になります。


 登録免許税とは土地や建物を建築したり購入したりしたときは、所有権保存登記や移転登記等を行います。この登記をする際にかかる税金が登録免許税です。
 登録免許税の税率は、土地の場合、固定資産税評価額に対して1.5%(平成31年3月31日以降は2%になる予定)、建物の場合は0.4%(通常の売買の場合は、固定資産税評価額に対し、土地1.5%、家屋2%。一部例外あり)です。信託受益権の売買であっても同様に登録免許税は課税されますが、通常の売買と比べて税率が低くなっています。



信託受益権を売却して得た利益は課税対象


 信託受益権を売却した場合は、信託受益権を所有する者は信託財産に属する資産及び負債を有するとみなされ、信託財産から生ずる収益について課税されることになるわけですが、信託受益権を売却して得た利益につ
いても、自らが所有する不動産を売却して得た利益と同様のものとして扱われ、その利益について法人税(個人の場合は所得税)が課税されます。


 例えば、所有する不動産を自分を受益者として信託していた場合で、その信託受益権を売却したとしましょう。簿価1億円の信託受益権を2億円で売却した場合、簿価が1億円の不動産を2億円で売却したものとして扱われ、差額の1億円の利益に対して所得税(法人の場合は法人税)が課税されることになります。(信託受益権を売却した者が消費税の納税義務者である場合において、この1億円の不動産が土地と建物で構成されているときには当該不動産のうち、建物部分の譲渡については消費税が課税されることになります。なお、土地の譲渡については非課税なので、消費税は課税されません。)



信託受益権売買の印紙税は200円


 不動産売買の場合には契約金額によって税額が変わってきます。しかし、信託受益権の売買の場合には、
一律200円と決まっています。


 これらの税金がかからないということから、信託受益権のほうが現物の不動産の売買よりも有利といえます。一般に不動産の売買は流動性が低いものですが、それが信託受益権に転換されていると流動性が高まり、売買しやすくなるというわけです。



投資法人が信託受益権ではなくて現物で購入する理由


 しかし、投資法人によっては信託受益権という形ではなくて現物にて保有する場合も多く有ります。理由はいくつか考えられますが、一番大きな理由は投資期間に得るリターンが少ないという場合が有ります。J-REITでもインフラファンドでも私募ファンドでも投資期間(物件の保有期間)をあらかじめ予測し損益計画をシミュレーションします。その段階で投資期間中に信託銀行(信託会社の場合も有ります。)に支払う信託報酬を考えると物件の取得時に流通税を支払った方が利益がプラスだと判断できる場合です。

 投資法人が信託受益権で購入しなかったからといって損をしているとは限りません。物件運用のプロである資産運用会社(AM会社)が損益計画その他の事情を勘案し判断しています。