米国REIT市場の状況
20170510米国リート

 4月上旬は、複数の米連邦準備制度理事会 (FRB)高官が金融引き締めに対して消極的な姿勢を示したことに加え、北朝鮮や中東情 勢を巡る地政学リスクへの警戒感が強まったことなどを受けて、長期金利が低下しました。このためリートの資金調達環境の悪化への懸念が後退し、堅調な展開となりました。中旬は、財務長官が大規模な景気刺激策のために財源を確保する意欲を示したことなどを受けて、政策への期待が高まり続伸しました。また、消費者物価指数や小売売上高が低調な内容となったことを受けて、長期金利が低下したことも好材料となりました。下旬は、製造業購買担当者指数(PMI)が市場予想を下回ったことや、原油先物価格が軟調に推移したことなどから、投資家心理が悪化し下落しました。
 
 米国REIT市場は、REITの安定した資金調達環境や業績拡大への期待が相場の下支え要因となり、戻りを試す展開になると予想されます。足元では小売売上高など低調な経済指標が散見されるため、金融当局は政策変更に慎重な姿勢を維持すると考えられます。 また、トランプ政権による景気刺激策の実行力について不透明感が残ることや、地政学リスクへの警戒感から、長期金利の上昇は抑制され、REITの安定的な資金調達環境が維持されると考える。米国主要リートの2017年1-3月期決算では、オフィスや産業施設などの不動産市場の良好な需給環境を背景として、概ね市場予想を上回る内容となり、通期の業績見通しを上方修正するREITが散見されたことから、今後も業績拡大期待が続くと思われます。。
 
 米国REITは株式と同様に消費者物価指数や小売売上高などに左右されていますが、不動産市場の良好な需給環境を揺さぶる程のものでは無いと思っています。


欧州REIT市場の状況
20170510欧州リート

 4月上旬は、ユーロ圏の小売売上高が市場予想を上回ったことなどから、商業施設に投資するREITの業績動向に強気な見方が拡がり、上昇する展開となりました。中旬は、英首相が解散総選挙の計画を発表したことを受けて、英国が政権基盤を強固にして欧州連合(EU)からの離脱交渉を推進するとの懸念が拡がり、主要国の長期金利が概ね低下したため、REITの利回り面での魅力が高まり続伸した。下旬はフランス大統領選を控えて、投資家の慎重姿勢が強まり一時下落したものの、その後は親欧州派のマクロン氏がトップで通過したことが好感され反発しました。月末にかけては、英国やフランスの2017年1-3月期の国内総生産(GDP)が 市場予想を下回ったことなどから、景気に対する先行き不透明感が強まり反落しました。

 欧州REIT市場は、英国不動産市場の先行き不透明感が残る一方、ユーロ圏のREITの良好な事業環境が続いていることから小刻みな動きになると予想しています。ユーロ圏では、欧州中央銀行(ECB)は緩和的な金融政策を維持する姿勢を示しており、REITの良好な資金調達環境が続くと思います。また、 企業景況感の改善が続いており、企業のオフィス拡張や新規出店に対する積極的な動きが強まることが予想され、不動産賃貸需 要は堅調に推移すると考えられます。一方、英国では、総選挙を控える中、EU離脱交渉を巡る不透明感を背景に、同国に拠点を置く企業が国外への移転を検討する動きが続いているため、REITの事業環境悪化への警感が残ると考えられます。

 英国に保有している物件を全て売却するという思い切った決断をするREITがあれば良いのですが、このようなカントリーリスクの場合は売却したくても買い手を探すのは難しいでしょうね。
 個人的にはフランスの大統領選はあんまり気にしていません。


豪州REIT市場の状況
20170510豪州リート

 4月上旬は、住宅価格指数が前月比で上昇したことが好感されたほか、オフィスビルに投資するREITが同業のREITから買収を提案されたことなどを受けて、業界再編期待が高まり、堅調に推移しました。米国がシリアを攻撃したことを受けて地政学リスクが高まり、長期金利が低下したことから、REITの利回り面での相対的な魅力が高まったことも下支え要因となりました。中旬は、大手REITが新しい住宅地開発プロジェクトを始めたことなどから、業績拡大への期待が高まり続伸した。また、小売り系REITが非中核的な物件の売却を発表したため、 資本効率の改善への期待が高まった。下旬は、金属資源価格が軟調に推移し、関連企業の業績悪化への警戒感が拡がる中、投資家のリスク回避姿勢が拡がり反落しました。
 
  オーストラリアRET市場は、REITの業績拡大が続いていることから、底堅い展開になると思われます。オフィス市場では、景気回復を背景に堅調なテナント需要が続く 一方、物件の新規供給が少ないことに加え、 再開発事業や鉄道などのインフラ整備に伴い既存のオフィスビルを取り壊す動きが続いていることから、空室率の低下が見込まれ、賃料は堅調に推移すると考える。また、産業施設市場では、米アマゾンが品揃えの拡大を表明するなどインターネット通販の成長が続いており、物流施設の需要が増加していることから、賃料は上昇すると思われます。そのため、REITの保有物件では、 賃料の値上げが見込まれ、REITの業績拡大が続くと考えられます。

 とても良いですね。住宅地開発プロジェクト等の一大プロジェクトに参入できるのは大手REITにしか出来ないことだと思います。今のオーストラリアの状況は今後、J-REITが直面する直近の未来だと思います。


アジアREIT市場の状況
20170510アジアリート

 シンガポールでは、4月上旬は産業施設REITの業界再編が進むとの観測が拡がったことなどが好感され、上昇しました。中旬は、北朝鮮や中東情勢の緊迫化を受けて、長期金利が低下してリートの利回り面での魅力が高まり続伸しました。下旬は、REITの決算が概ね堅調な内容となったことなどが好感され、堅調な展開が続きました。香港では、4月上旬は商業施設リートが物件売却や投資家還元を強化するとの観測が拡がったことなどから上昇しました。中旬は、中国の新経済特区構想や珠江デルタ都市開発計画を受けて、不動産価値の向上への期待が高まり続伸しました。下旬は、貿易統計や外国人来訪者数などの経済指標が全般に堅調であったことなどから、底堅い展開が続いたようです。

 アジアREIT市場は、シンガポールでは、 REITの堅調な業績が続いていることから、 上値を試す展開になると考えられます。2017年1-3月期決算では、概ね堅調な業績動向が確認され、また、大手REITの経営陣からは 先行きの市場環境に強気な見通しが示されました。足元では、投資ファンドによる産業施設REITへの投資が拡大していることが、 需給面での支援材料になると考えられます。

 香港では、REITの収益が拡大していることから、底堅い展開になると予想されます。香港REITが主に投資する郊外型商業施設には築年数の古い物件が多いことから、香港REITは継続的に保有物件の改装投資を行っています。改装後は増床や賃料改定による収入の増加が見込めることから、今後もREITの収益拡大が継続すると予想しています。

 今、グローバルREITの中で旬で好調なのがアジアREITではないかと思います。シンガポールも香港も主力のREITはオフィスよりも商業施設ですから夏季に向けて更に好調に推移してくれると思っています。