投資事業有限責任組合(LPSといいます。)は、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」(LPS法)に基づいて組成される組合型スキームです。
LPSは、各当事者が出資を行い、事業を営むことを約することにより、その効力を生ずるものとされ(LPS法3条)、組合契約書には、LPS法3条2項に定められた事項を記載し、効力が生じたときは、主たる事務所の所在地においては2週間以内に一定の事項を登記する必要があります(LPS法17条)。
LPSの特徴は、組合型スキームであるため法人格を有していません。また、組合員同士の組合契約によって成立します。
一番の特徴は組合員の中に無限責任組合員と有限責任の組合員が存在することです。
LPSでは、対外的な無限責任を負う組合員は無限責任組合員(General Partner(GP))に限定されており、投資家は有限責任組合員(Limited Partner(LP))として対外的には有限責任(つまり出資責任)に限定されます。
このように、GPとLPによる二重構造がLPSの最大の特徴で、資金調達をしやすくするビークルとして考えられています。ただし、LPSの場合、投資対象とできるのは、
LPS法3条に限定列挙されているため、列挙されている事業以外を投資目的とする場合には、LPSを採用することはできません。
LPS法3条に限定列挙されているため、列挙されている事業以外を投資目的とする場合には、LPSを採用することはできません。
会計上・税務上でのポイントは以下の2点です。
①匿名組合スキームと同様に、パススルー税制が適用されます。
②公認会計士又は監査法人の監査が必要になる。
(LPS法3条)
1 株式会社の設立に際して発行する株式の取得及び保有並びに企業組合の設立に際しての持分の取得及び当該取得に係る持分の保有
2 株式会社の発行する株式若しくは新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は企業組合の持分の取得及び保有
3 金融商品取引法第二条第一項各号(第九号及び第十四号を除く。)に掲げる有価証券(同項第一号から第八号まで、第十号から第十三号まで及び第十五号から第二十一号までに掲げる有価証券に表示されるべき権利であって同条第二項の規定により有価証券とみなされるものを含む。)のうち社債その他の事業者の資金調達に資するものとして政令で定めるもの(以下「指定有価証券」という。)の取得及び保有
4 事業者に対する金銭債権の取得及び保有並びに事業者の所有する金銭債権の取得及び保有
5 事業者に対する金銭の新たな貸付け
6 事業者を相手方とする匿名組合契約(商法第五百三十五条の匿名組合契約をいう。)の出資の持分又は信託の受益権の取得及び保有
7 事業者の所有する工業所有権又は著作権の取得及び保有(これらの権利に関して利用を許諾することを含む。)
8 前各号の規定により投資事業有限責任組合(次号を除き、以下「組合」という。)がその株式、持分、新株予約 権、指定有価証券、金銭債権、工業所有権、著作権又は信託の受益権を保有している事業者に対して経営又は技術の指導を行う事業
9 投資事業有限責任組合若しくは民法第六百六十七条第一項に規定する組合契約で投資事業を営むことを約するものによって成立する組合又は外国に所在するこれらの組合に類似する団体に対する出資
10 前各号の事業に付随する事業であって、政令で定めるもの
11 外国法人の発行する株式、新株予約権若しくは指定有価証券若しくは外国法人の持分又はこれらに類似するものの取得及び保有であって、政令で定めるところにより、前各号に掲げる事業の遂行を妨げない限度において行うもの
12 組合契約の目的を達成するため、政令で定める方法により行う業務上の余裕金の運用 このスキームで私募ファンドとして運用することはまれですが、私募ファンドに資金を貸付る側としてはよく登場します。外資系の企業がLPSの有限責任組合員となり、不動産を運用する私募ファンドにローンを貸し付けるのです。
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