米国REIT市場の状況
20170608米国REIT

 米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明において、足元の景気減速は一時的であり、米国経済の先行きに対する強気な見方が示されたことなどから、長期金利が上昇してREITの利回り面での相対的な魅力が後退し、中旬までは軟調な展開となった。また、大手小売り企業の決算が市場予想を下回る低調な内容となり、商業施設に投資するREITの事業環境に対する悲観的な見方が拡がったことも悪材料となったと考えられます。
 下旬は、住宅価格指数が市場予想を上回ったことが好感され、底堅い展開となりました。しかし、月末にかけては、ミシガン大学消費者マインド指数(改定値)が市場予想を下回ったことなどから、再度、REITが投資する商業施設の収益悪化への懸念が強まり反落する展開となりました。 
 
 米国REIT市場は、REITの良好な資金 調達環境や業績拡大が継続すると見込まれることから、戻りを試す展開になると予想しています。強弱の入り混じる経済指標が発表されていることもあり利上げペースは緩やかになると見込まれます。
 また、政治の混乱による経済政策の不透明感から長期金利の上昇余地は限定的になると予想され、REITの安定的な資金調達環境が続くと考える。REITの経営陣は、先行きの業績推移に対する強気な見方を示しています。リテール系REITは、ネット通販の台頭による実店舗の販売不振が懸念材料となっているものの、 米景気の回復を背景に今後も個人消費の拡大が見込まれ、集客力に優れる大型商業施設に投資するREITを中心に業績は底堅く推移すると考えられます。


欧州REIT市場の状況
20170608欧州REIT

 5月上旬は、フランス大統領選で親欧州派のマクロン氏が勝利したことを受けて、政治リスクが後退したほか、欧州委員会がユーロ圏の景気見通しを上方修正したことなどが好感され、中旬にかけて上昇する展開となりました。
 しかしその後は、英国の大手REITの経営陣がロンドンのオフィス市場について慎重な見方を示したことなどが悪材料となり反落しました。また、英国で物価上昇に対する警戒感が拡がる中で長期金利が上昇してREITの利回り面での相対的な魅力が後退した。下旬は英国の5月の住宅価格が市場予想を上回ったことや、欧州中央銀行(ECB)総裁が金融緩和の継続に前向きな発言をしたことなどが好感され、持ち直す動きとなりました。

 欧州REIT市場は、英国不動産市場の不透明感が強まりつつあるものの、ユーロ圏では政治リスクの後退に加え、REITの良好な事業環境が続いていることから、底堅い展開になると予想しています。ユーロ圏では、経済の安定成長を背景に底堅い不動産需要が続いています。また、フランスの新大統領が主張する法人税減税が実施された場合、企業景況感の改善を通じてオフィス拡張や新規出店の動きが拡がると見込まれ、不動 産需要を後押しすると考えています。英国では、欧州連合(EU)離脱交渉を巡る不透明感からオフィス需要が鈍化しており、築年数の古いビルを中心に空室率の上昇が見られます。 また、個人消費に減速感がでてきており、 REITの
事業環境の悪化懸念が強まると思われます。


豪州REIT市場の状況
20170608豪州REIT

 5月上旬は原油などの資源価格が下落したことを受けて、資源関連企業の業績悪化への懸念が投資家心理の悪化に繋がり、上値の重い展開になりました。また、政府が財政収支の改善を目標に多国籍企業や銀行に対して増税すると発表したことなどから、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。中旬は住宅 ローン承認件数や消費者信頼感指数が低調な内容となったことなどを受けて、景気の先行き不透明感が強まり続落しました。
 下旬は 石油輸出国機構(OPEC)主導による原油減産の延長合意への期待などから、原油価格が 戻りを試す展開となったことを好感し、反発する展開となりました。また、大手REITが商業施設の再開発計画を発表したことなどが好感されました。

 オーストラリアREIT市場は、財政政策やREITの業績拡大への期待が相場を下支えする要因となり、持ち直す展開になると予想できます。底堅い個人消費を背景に景気の 緩やかな拡大が続く中、安定的な不動産需要が見込まれれます。
 また、政府は来年度の予 算案で道路や鉄道網などのインフラ整備計画を打ち出したことから、持続的な経済成長や利便性の向上による周辺地域の再開発への期待が不動産需要に好影響を与えると考えられます。業績面では、大手REITが保有している商業施設では、増床・改装工事や有力テナントの誘致により集客力を高めていることが差別化要因となり、旺盛なテナント需要が賃料収入の拡大につながると考えられます。


アジアREIT市場の状況
20170608アジアREIT

 シンガポールでは、上旬は1-3月期の不動産賃料指数が前期比で下落したことなどが嫌気されたことで軟調に推移しました。中旬は3月の小売売上高が前年比で市場予想を上回ったことなどを受けて、景気回復期待が高まり、反発する展開となった。
 下旬は1-3月 期国内総生産(GDP)改定値が速報値から 上方改定されたことなどから、景気の先行き不透明感が後退し続伸した。香港では、上旬は3月の小売売上高が前年比で増加に転じたことなどから、REITが投資する商業施設の事業環境に対する見方が改善し上昇した。中旬は中国政府が「一帯一路」の 推進に向けた追加投資を発表したことなどが好感され、底堅い展開が続きました。その後不動産企業の業績改善期待が高まり、投資家心理が改善し続伸しました。

 アジアREIT市場は、シンガポールでは、REITの事業環境の改善が見込まれ、堅調な展開が続くと考えられます。エレクトロニクス業界などの生産回復が経済成長を牽引しており、オフィスや産業施設などの不動産市場が好影響を受けると思われれます。
 また、産業施設に投資するREITは高効率な物件への投資を増やしていることから、収益性改善への期待が高まると考えれます。香港では、REITの賃料収入の増加期待が高まると思われることから、底堅い展開が続くと考えられます。香港の主要REITが保有する商業施設では、長期的に賃料の上方改定が続いています。消費の回復により事業環境が改善する中、今後もテナント売上高は安定的に推移すると見込まれているため、契約賃料の引き上げによるREITの増収期待が高まると予想されます。