米国REIT市場の状況
20170707米国REIT

 6月の米国REITは雇用統計が市場予想を下回る内容となったことなどから景気の先行き不透明感が拡がり、利上げペースが緩やかになるとの見 方が強まったことが好感され、中旬にかけて上昇する展開となりました。また、データセンター系REITが同業リートの買収提案に応じると発表したことを受けて、業界再編 への期待が高まったことも好材料となりました。
 その後は、大手ネット通販会社が食品スーパーの買収を発表したことなどを受けて、リテール系REITの事業環境の悪化への懸念が強まり、上値の重い展開となりました。下旬以降は、大手投資会社がリテール系REITの大口株主となったことや、住宅価格指数が上昇して過去最高を更新したことなどから、投資家心理が改善し、底堅い展開となりました。 
 
 米国REIT市場は、一部の小売り系REITの業績悪化懸念が残るものの、米国REIT全体としては業績拡大期待が続いていることから、底堅い展開になると予想されます。 小売りセクターでは、ネット通販の台頭で 業績不振となった百貨店の店舗閉鎖の動き が加速しており、REITの業績悪化が懸念されます。一方、大手REITは映画館な どネット通販との競合が少ないテナントの 誘致を進めており、集客力の優れる商業施 設のテナント需要は堅調である。産業施設や住宅、オフィスでは、不動産需要が堅調 に推移しており、米国REIT全体では良好 な事業環境が継続している。また、足元の 経済指標は強弱感が入り混じっており、当 面の長期金利の上昇は抑制され、米国REITの良好な資金調達環境が続くと考える。


欧州REIT市場の状況
20170707欧州REIT

 6月上旬はユーロ圏の生産者物価指数が市場 予想を下回ったことなどを受けて、欧州中央銀行(ECB)は緩和的な金融政策を継続するとの見方が拡がり底堅い展開とりました。 中旬は、英国の住宅建設会社が足元の需要 は底堅いと公表したことや、ユーロ圏財務 相会合でギリシャ向けの追加融資について 合意されたことなどが好材料となり、続伸する展開となりました。下旬は英国の欧州連合 (EU)離脱交渉が始まったことなどを受けて、 同国不動産市場の先行き不透明感が強まり、下落する展開となった。また、ECB総裁や英 中央銀行(BOE)総裁の発言などを受けて、欧州の金融緩和姿勢が後退するとの観測が強まり、投資家のリスク回避的な動きが強まりました。

 欧州REIT市場は、ユーロ圏REITの業績拡大期待や英国REITの割安なバリュエーションを背景に戻りを試す展開になると予想できます。ユーロ圏では、フランスの議会選挙でマクロン新党が安定多数の議席数を獲得し、政策期待が高まったことから、オフィス拡張や新規出店に前向きな企業が増えると見込まれており、不動産需要は堅調に推移すると思われます。また、ECBは緩和的な金融政策を維持する方針であり良好な資金調達環境が続くと思われます。英国では、EU離 脱交渉を巡る不透明感が残るものの、既にREIT価格はREITの純資産価値を下回る 水準にある。一方、不動産価格は底堅い投 資需要を背景に安定的に推移しており、バリュエーション面での割安感が相場を下支えする要因になると思います。


豪州REIT市場の状況
20170707豪州REIT

 6月上旬は原油や鉄鉱石などの資源価格が下落したことなどを受けて、資源関連企業の業績悪化への懸念が投資家心理の悪化に繋がり、軟調な展開となった。また、豪中央銀行が同国経済の成長が鈍化しているとの認識を示したことが嫌気されました。中旬は失業率が市場予想を下回り、景気の先行き不透明感が後退したことや、商業施設に投資するREITが物件を取得すると発表したことなどから業績拡大期待が高まり反発した。 下旬は大手証券会社がネット通販との競合を懸念して商業施設に投資する大手REITの投資判断を引き下げたことなどが嫌気され、軟調な展開となった。また、銀行税の導入による銀行の業績悪化懸念から、REITの資金調達環境の先行き不透明感が拡がった。 
 
 豪州REIT市場は、ネット通販の台頭によるREITへの影響が懸念される一方、REITの事業環境の改善が続いていることから、もみ合う展開になると予想する。ネット通販の成長が続いており、リテール系REITの商業施設のテナント需要に及ぼす悪影響に対する警戒感が相場の上値を抑える要因になると思われます。一方、 人口増加を背景に住宅建設需要が堅調に推移していることに加え、サービス業が牽引役となって景気拡大が続いており、今後も安定的な不動産需要が見込まれています。セクター別では、オフィスセクターは雇用情勢が改善している
ことから、賃貸需要は底堅 く推移すると思われます。産業施設では、ネット通販市場の拡大を背景に倉庫の需要拡大が見込まれます。


アジアREIT市場の状況
20170707アジアREIT

 シンガポールでは、上旬は外国人来訪者数が増加基調で推移していることなどを受けて、商業施設やホテルに投資するREITの事業環境が改善するとの見方が強まり、堅調に推移した。中旬は企業景況感が改善したことなどから、オフィスや産業施設の需要回復への期待が高まり続伸しました。下旬はビジネス中心地のオフィス賃料が回復に転じたとの観測が拡がったことなどから、REITの業績改善への期待が拡がり上値を試す展開が続きました。
 香港では、上旬は住宅価格指数が上昇したことなどを受けて、住宅市場の回復期待が高まり上昇しました。しかし中旬以降は、米国に連動して政策金利が 引き上げられたことなどが嫌気され弱含む展開となりました。

 アジアREIT市場は、シンガポールでは、REITの事業環境の改善期待が高まり、底堅い展開が続くと考えられます。足元の消費者マインドの改善や、外国人来訪者数の増加を受けて、小売売上高の回復が見込まれる。また、ホテル市場では、宿泊需要の回復に より下落基調で推移していた宿泊単価が下げ止まり、REITの事業環境は改善すると思われます。

 香港では、優れたテナント誘致力を背景にREITの業績拡大が見込まれ、堅調な展開が続くと考えられます。大手REITは、小売市場の情報を豊富に持っていることから、相対的に成長性が高く優良なテナントを誘致することができているようです。また、地元住民の生活に密着した食品スーパーや飲食店などが主要テナントとなっているため今後も安定的な収益拡大が見込まれています。