J-REITやインフラファンドにもリスクがあるように私募ファンド、クラウドファンディングも投資商品でいる以上はリスクが存在します。今日はクラウドファンディング特にクラウドファンディングの中で最も多い「投資型クラウドファンディングのリスク」についてご説明していきたいと思います。
1.元本割れのリスク
匿名組合契約に基づく利益の分配又は出資金の返還は、営業者の匿名組合事業による収入をその原資とし、かつ契約で定める会計期間中における営業者の売上金額を基に算定される分配金額の支払いのみをもって行われます。したがって、会計期間中の本匿名組合事業における売上によっては利益の分配が行われない可能性があり、また、分配金の支払いが行われたとしても、全会計期間をとおして匿名組合員(ご投資いただいた方)に支払われる分配金額の合計額が当初の出資金を下回るリスクがあります。
2.流動性リスク
契約期間中、匿名組合契約は解約できません。匿名組合契約の譲渡は同契約により制限されます。また匿名組合契約を取引する市場および匿名組合員である立場を取引する市場は現時点では存在しません。
3.取扱者の信用リスク
匿名組合契約において、出資金および本匿名組合契約締結の取扱いならびに管理運営を運営者に委託しているため、分配金額の支払い等は、運営者を経由して行われます。このため、運営者が破綻した場合、匿名組合事業に係る分配金額の支払い等が遅滞する、もしくは分配金額の全部または一部が支払われないリスクがあります。
4.運営者の信用リスク及び債務超過に陥るリスク
運営者は事業の状況如何によっては、債務超過に陥る恐れがあります。その場合、運営者が支払不能に陥ることで、営業者に対して破産、会社更生民事再生などの各種法的倒産手続きの申立てがなされる可能性等があります。これらに該当することとなった場合には、匿名組合契約に基づく分配金額の支払い、さらには出資金の返還が行われないリスクがあります。匿名組合員が運営者に対して有する支払請求権(出資金返還請求権および利益分配請求権のことです。)には、何ら担保が付されていません。また、匿名組合事業における売上金額により分配金額が発生したとしても、匿名組合事業において多額の費用や損失が発生した場合においては、分配金額の支払いが行なわれないリスクがあります。
さらに、運営者が破産等の法的倒産手続きに移行した場合には、匿名組合員が運営者に対して有する支払請求権は、他の優先する債権に劣後して取り扱われます。そのため、法的倒産手続きの中で、他の優先する債権については支払いがなされ、回収が図られた場合であっても、匿名組合員が有する支払請求権については一切支払いがなされないリスクもあります。
5.経営陣および事業のキーマンとなる者が不測の事態に係るリスク
資金重要者について、多くのケースにおいてその事業を営むの経営陣への依存度が高く、経営陣に不測の事態(病気・事故・犯罪に巻き込まれる等)が生じることにより、本匿名組合事業に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
6.大地震・大津波等の自然災害のリスク
大きな地震や津波、台風等の自然災害等に起因する要因により、融資先事業の継続悪影響を及ぼ
すリスクがあります。
7.新規事業及び事業環境の変化に伴うリスク
多くの場合、資金重要者は新規事業者です。したがって、投資先事業について実績がないため、運営体制の構築あるいは事業の遂行等、安定的な運営を図るまでに時間を要する可能性があります。また法律の変化や外部環境の変化、競合他社の状況などによって、事業計画の大幅な見直しが必要になるリスクがあります。
8.事実の調査に関するリスク
運営者が行う事実の調査は、運営者独自の水準に基づき実施されます。入手資料および資金需要者への質問の回答について、すべて真実であることを前提としておりますが、事実の調査が誤るリスクがあります。また、運営者の事実の調査に基づくファンド組成の判断は、匿名組合員への分配金や出資額の返金を保証するものではなく、運営者の事業計画や、営業者が破産等しないことを保証するものではありません。
運営者が行うリスク管理
これまでどのブログや比較サイトにおいてもリスクを煽るばかりですが、投資商品である以上元本割れリスクや流動性リスクなどは対策が非常に難しいです。しかし、信用リスク、債務超過に陥るリスクについては特に運営者もリスク管理について対策を講じています。実務者の立場に立ちリスク対応について考えてみたいと思います。
①資金使途の制限
多くのクラウドファンディングでは投資家から集めた匿名組合資金を運営者に融資する際に資金使途を制限しています。例えば、インフラ事業者が投資対象の場合は「太陽光発電所の建設にかかる権利取得代金、設備・設計、造成費、他運転資金等にかかる資金」に制限され、
不動産事業者を投資対象とする場合は担保「マンション用地、マンションの建設」等というように制限することで取扱者が余計な事業や用途に資金を使用することを防止しています。これは都市銀行が一般企業に貸付ける際、特に不動産事業者や投資法人と交わす契約書には必ず明記されている条件です。
②担保・保証
ファンドの種類にもよります不動産事業者を投資対象とするファンドの場合は不動産が担保として設定されています。万が一、資金需要者からの返済や利払いが滞ったとしても担保権を実行することで保全を行が行われます。また、資金重要者の代表者が債務を連帯保証する契約になっている場合もあり、資金需要者の貸倒れや遅延が生じても、代表者に連帯保証を求めることで、保全を図ることが可能となっています。
クラウドファンディングの場合は私募ファンドなので資金需要者とファンド間で担保・保証の内容がファンドごとに異なります。購入をご検討の際には利回りだけでなくどのようなリスクがありどの程度の担保・保証が付されている契約なのかを投資家自身がしっかり確認して頂く必要が有ります。
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