2017年6月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。


・有利子負債利子率

20170827有利子負債利子率
20170827有利子負債利子率2

 有利子負債利子率は決算短信を基に(支払利息+投資法人債利息)÷有利子負債で算定しています。2017年6月期の有利子負債利子率は前期と比べて変化はありません。最近のJ-REITはPOで物件取得する度に取得前と比べ利息負担が減少しているケースが多くレンダーからの資金調達環境は引き続き良好であると感じます。

 有利子負債利子率は日本プライムリアルティ投資法人を除き1%を切っています。これは低いほどレンダーからの資金調達コストが低いことを表しいているので投資家さんにとっては非常に良い状況なのですがレンダーからすると面白くない状態なのでシンジケートローンのアレンジャーとして新規金融機関を呼び込みそのアレンジャーフィーを徴収したり、金利スワップ契約を締結による報酬を検討したりと貸出だけでないところで投資法人から上手いこと利益を得られないかと常に考えています。これらのコストは一般的に「融資関連費用」に含まれているので投資家さんはPLを確認する際は必ずご確認することをお勧めします。



・LTV(有利子負債比率)

20170827LTV
20170827LTV2

 LTVは有利子負債÷総資産で計算しています。多くの投資法人が42%~46%水準で推移しています。フロンティア不動産投資法人は担保の現預金を有利子負債とネットして開示していますが当サイトではネット前の数値で比較しています。(それでもかなり低い。)インヴィンシブル投資法人やマリモ地方創生リート投資法人など保有している物件がレジデンスが多いい物件は有利子負債が多くなりがちです。成長性が低いアセットのため余剰キャッシューフローで任意期限前弁済を行わない限りLTVの水準を下げることは難しいと思います。LTVが低いということはレンダーから見ても安定性が高いと分かるため資金調達余力が高いと見られることから、投資法人にとっては資金調達余力が高いというアピールになります。

 日本ビルファンド投資法人や日本プライムリアルティ投資法人のような比較的運用実績の長い投資法人の場合は決算短信等で財務戦略では「どの程度のLTVを維持する」ということを示しています。