米国REIT市場の状況

20170907米国REIT

 8月上旬は北朝鮮情勢が緊迫化したことなどを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、下落する展開となりました。また、大手小売企業が低調な決算を発表したことから、 商業施設に投資するREITの業績の先行き不透明感も下落要因となりました。中旬は米政府高官から北朝鮮問題の平和的な解決を目指すとの考えが相次いで示されたことが好感されました。
 一方、トランプ大統領の人種問題 に関する発言から政権への不信感が拡がったことから、一進一退の展開となりました。下旬は政策運営の混乱が続いたことで長期金利が低下し、利回り面でのREITの魅力が高まったことから、持ち直す動きとなりました。 また、国内総生産(GDP)改定値が市場予想を上回り景気の先行きに対する楽観的な見方が拡がったことも好材料となりました。


 米国REIT市場は、地政学リスクへの懸念が上値を抑える要因となるものの、REITの良好な資金調達環境や業績拡大の継続が見込まれ、堅調な展開になると予想されます。 北朝鮮問題は米国の実体経済に与える影響は小さいと思われます。また、トランプ政権では運営の安定化に向けた人事交代を進めていることから、政治の不透明感は徐々に後退すると考えられ、金融政策面では、物価の停滞により利上げペースは鈍化すると見込まれるため、長期金利の上昇ペースは緩やかとなり、REITの良好な資金調達環境が維持されると考えられます。



欧州REIT市場の状況

20170907欧州REIT

 8月上旬はユーロ圏の4-6月期のGDPが底堅い伸びとなったことなどから、景気拡大がREITの事業環境に好影響を与えるとの見方が拡がり、底堅く推移した。しかし、北朝鮮情勢を巡る地政学リスクへの警戒感が強まり反落した。中旬は、フランスの大手REITが投資主還元策を強化すると発表したことなどが好感され、反発した。その後は、スペインでテロ事件が発生したことや、英国の大手REITが大型物件の売却を検討しているとの観測が拡がり、REITの収益拡大への期待が後退したことなどから、投資家のリスク回避姿勢が強まり反落した。 下旬はユーロ圏の景況感指数が市場予想を上回り、10年ぶりの高水準に回復したことなどから、投資家のリスク選好的な動きが拡がり、反発する展開となりました。


  欧州REIT市場は、ユーロ圏REITの良好な事業環境が見込まれる一方で英国不動産市況の下落が懸念されることから、一進一退の展開になると予想されます。ユーロ圏では、足元のユーロ高を受けて金融政策の変更に慎重な姿勢が維持されると思われ、景気回復が域内に拡がっており、主要国に加え、回復が遅れていた南欧諸国においても不動産需要が徐々に拡大すると見込まれています。英国では、不動産需要の低迷に 対する警戒感から不動産売却の動きが拡がっています。また、中国政府が海外投資の監督強化をしていることから、中国企業による欧州不動産への投資の鈍化が見込まれる。そのため、不動産需給の緩和による不動産市況の下落が懸念され、相場の上値を抑える要因になると考えられます。



豪州REIT市場の状況

20170907豪州REIT

 8月上旬は豪中央銀行(RBA)総裁が声明で豪ドル高を背景に物価上昇率が低水準で推移するとの見通しを示したことを受けて、長期金利が低水準で推移することによりREITの利回り面での相対的な魅力は維持されるとの見方が拡がり上昇しました。中旬は、主要REITの決算が概ね良好な内容となったことや、雇用統計で雇用者数の伸びが市場予 想を上回ったことなどが相場の支援材料となり、続伸する展開となりました。また、大手REITが物件の追加取得を発表したことから、業績成長への期待が高まりました。下旬は米国の政治不安や北朝鮮情勢の不透明感が強まったことなどから、投資家心理が悪化 し反落した。また、商業施設に投資する大手REITの負債比率が高水準となっていることも下落要因となりました。


 豪州市場は、REITの堅調な業績推移が見込まれることから、戻りを試す展開になると予想されます。主要REITの2017年6月期本決算・中間決算は、景気拡大を背景に概ね市場予想を上回り、堅調な業績が確認されました。足元では物価上昇率が低水準で推移しており、RBAは緩和的な金融政策を当面維持すると考えられます。そのため、低金利環境が継続し、REITの資金調達コストは低位で推移すると見込まれます。また、企業景況感は堅調に推移していることから、 企業の投資が活発化することで経済成長率が上向き、不動産需要に好影響を与えると予想されます。堅調な事業環境を背景に保有物件の賃料上昇が見込まれ、REITの業績は堅調に推移すると思われます。

 

アジアREIT市場の状況

 20170907アジアREIT

 シンガポールの8月上旬は長期金利が上昇してREITの資金調達費用の増加が懸念されたことなどから、上値の重い展開となりました。中旬以降は、経済指標が概ね改善したことなどを受けて、景気回復期待が高まり、底堅く推移しました。また、シンガポールの大手産業施設リートが新たに香港の倉庫物件を取得すると発表したことを受けて、REITの業績拡大への期待が高まったことも好感されました。
 香港では、8月上旬は商業施設に投資する大手REITが資産入替えによる収益性向上策を発表したことなどが好材料となり底堅く推移しました。中旬以降は、中国政府による不動産市場の引き締めへの警戒が拡がる中、不動産関連銘柄が軟調に推移したことなどから、投資家心理が悪化し 下落しました。


 アジアリート市場はシンガポールでは事業環境の改善による業績拡大期待の高まりを背景に堅調な展開が続くと考えられます。ビジネスや観光を目的に外国人来訪者数が昨年後半から持ち直す動きとなっていることに加え、足元の経済指標は概ね良好な内容となっており、商業施設やホテルを中心に不動産需要は堅調に推移すると考えられます。香港では、REITの安定的な業績拡大が継続していることから、底堅い展開が続くと考えられます。生活関連消費が堅調に推移しており、 郊外型商業施設に投資する大手REITの賃料収入は安定的に増加しています。

 北朝鮮と米国の関係がJ-REITに限らず影響を与えていると思いますが、アジアREITはどこ吹く風といった感じですね。シンガポールは特に好調に推移しているところが特徴的です。一転して欧州REITは未だ燻っているという感じは否めないですね。