2017年10月16日のジャパン・シニアリビング投資法人投資法人の決算が発表されました。
当初の予想一口当たり分配金が3,500円のところ3,620円で着地しました。

シニア系J-REITのAMは利用者のことを考える度量が必要
20171024ジャパン・シニアリビング投資法人NOI・NOI利回り推移

 2017年8月期は、新たな施設の取得・譲渡は行っておらず、期末現在の保有施設数は14物件、居室数は1,642室、総賃貸可能面積は104,714.31㎡、全物件において稼働率は100.0%となっています。
  また、既存物件の運用にあたっては、オペレーターとのリレーションを通じて、バリューアップ工事の実施に基づく賃料増額及び賃貸借契約期間延長の交渉、投資優待制度の拡充等に取り組みました。主要な運用資産であるアクティバ琵琶(物件番号S-6)につき、オペレーターである㈱ユニマットリタイアメント・コミュニティからのオペレーターの地位承継に関する申入れを以下のとおり承諾し、2017年4月1日付でアクティバ㈱がアクティバ琵琶のオペレーターの地位を承継しているとしています。簡単にいうとオペレーターの変更です。アクティバ㈱はリゾートトラスト㈱による連帯保証が付いているので投資法人としては安心ですが、老人ホーム等のシニア物件の場合、入居者へのサービス体制が問題となりますが、上記の場合は旧オペレーターの100%出資により設立された会社でその後リゾートトラスト㈱に譲渡されたものなで入居者に対するサービスや運営担当者の移動は最小限になっていると考えられます。入居者にはオペレーター変更でいきなり介護担当者が変わってしまったら不信感を抱きかねないですからね。

 シニア系J-REITは他のJ-REITよりAM会社の質が問われると思います。物件利用者のことを考える想像力を持ち繊細な運用をしていかなければならないので成長には手間と時間が係る投資商品だと思います。今期も病院等メディカル施設の取得が無かったのですが、決算短信上では「病院不動産は築30年から50年程度を経過したものが多く、2014年9月1日時点での耐震化率も67.0%の水準にとどまっていることから、資金調達手段の多様化や所有から賃貸への転換意向を示す医療法人等のオペレーターによる、設備資金確保のための、いわゆるセール・アンド・リースバック取引や病院の建替えにおいてヘルスケアリートの活用機会が生じてくるものと考えている」としているため取得意欲は失っていないようなので引き続き期待していきたいと思います。


財務数値は悪く無いが病院取得はまだ先
 
 2017年8月期においては、返済期日が到来した借入金1,000百万円の返済資金に充当するため同額の借入れを行いました。2017年8月期末現在の出資総額は15,531百万円、発行済投資口の総口数は84,750口、有利子負債総額は15,000百万円となっています。財務面は既存借入金の約定弁済によるものだけで特段目立った動きは有りませんでした。LTV、DSCRともに良好な水準なので投資対象となる物件さえ見つかれば直ぐにでも取得できる環境だと思います。オフィスビルやホテル等と違い、老人ホームや病院等はまだ価格の上昇は上がりきっていないと思うので取得しても良いと思うのですが・・・。やっぱりPOを絡めて大量に取得したいということがAM会社の思惑だと感じます。