米国REIT市場の状況
20171011米国REIT指数

 8月上旬はトランプ大統領が野党・民主党と 連邦債務上限の引き上げで合意したことなどを受けて、投資家のリスク回避姿勢が後退し、上昇する展開となりました。中旬は、北朝鮮問題やハリケーン被害への警戒感が後退した一方で長期金利が上昇してREITの利回り面での魅力が低下したことなどから、一進一退の値動きとなりました。下旬は米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の追加利上げを示唆する政策金利見通しが維持され、利上げ観測が強まったことなどから、軟調な展開とでした。月末にかけては、トランプ 大統領と与党・共和党による税制改革案が公表されたことなどを受けて、景気拡大期待から下げ止まったものの、財政悪化が懸念されたことなどから、もみ合う展開となりました。
 米国REIT市場は、REITの業績拡大が続いていることに加え、REITの資金調達環境は安定的な推移が見込まれることから、底堅い展開になると予想する。ハリケーンの被害については、被災したREITの保有物件は少ないことに加え、復興需要が見込まれ、業績への影響は限定的となると考えられます。業績面では、ネット通販の台頭で小売企業の破産が増加しており、競争力に劣る商業施設に投資するREITの業績悪化が続くと思われています。
 一方、オフィスや住宅セクターでは、景気拡大を背景に堅調なテナント需要が続いており、REIT全体では業績拡大が続くと考えられています。金融政策面では、物価上昇率が鈍化していることから、融政策の正常化は慎重に進められると思われ、REITの安定した資金調達環境が維持されると考えられます。


欧州REIT市場の状況
20171011欧州REIT指数

 9月上旬は欧州中央銀行(ECB)総裁が理事会後の会見で足元のユーロ高に警戒感を示したことなどを受けて、当面は緩和的な金融政策が維持され、REITの良好な資金調達環境が続くとの見方が拡がり、上昇する展開となりました。中旬は、英国の消費者物価指数が市場予想を上回ったことや、英中央銀行 (BOE)が利上げを示唆したことなどから、利上げ観測が拡がり、反落する展開となりました。下旬は個人用倉庫に投資する英国のREITが同業の会社を買収すると発表したことなどを受けて、REITの業績拡大期待が強まり、反発する展開となりました。また、ドイツの連邦議会選挙で与党が議席を減らし、政治リスクへの警戒感から長期金利が低下したことが好材料になっています。。
  欧州REIT市場は、REITの資金調達環 境の悪化懸念や英国の景気減速が上値を抑える一方、ユーロ圏REITの業績拡大が見込まれることから、もみ合う展開になると思われます。。ユーロ圏では、企業や消費者の 景況感が高水準で推移しており、企業のオフィス拡張や家計の消費に対する積極的な姿勢が強まると考えられます。堅調な不動産賃貸需要を背景にREITの業績拡大期待が高まっています。英国では、物価上昇を受けて個人消費は減速傾向にあり、REITが保有する商業施設のテナント需要に悪影響を及ぼすと思われます。金融政策面では、ECB、BOEともに金融政策の正常化を示唆しており、REITの資金調達環境の悪化への警戒感が高まると考えられます。
 

豪州REIT市場の状況
20171011豪州REIT指数

 9月上旬は住宅関連指標が良好な内容となったことなどから、景気拡大期待が高まり、 堅調に推移しました。中旬は中国の主要経済指標が低調な内容となったことなどを受けて、中国景気の減速による経済に及ぼす悪影響に対する警戒感が強まり、反落する展開となりました。下旬も米国の金利上昇に連れて長期金利が上昇したことなどから、REITの資金調達環境の悪化が懸念され、下落基調が続きました。月末にかけては、資源価格が上昇したことなどを受けて、資源関連企業の業績への懸念が後退して投資家心理が改善し、持ち直す動きとなりました。
 豪州市場は、景気拡大を背景にREITの事業環境の改善が見込まれ、持ち直す展開になると予想されます。景気拡大を受けて雇用・所得環境の改善が続いており、個人消費の拡大を通じて商業施設に投資するREITの事業環境が改善すると思われます。また、シドニーやメルボルンでは、企業業績の回復を背景とするオフィス移転や増床の需要が底堅いことから、賃料の上昇基調が続くと考えられます。金融政策面では、 融資抑制策により住宅価格の過熱感が後退したと見られることや、物価上昇率の低位安定が続いていることから、豪中央銀行 (RBA)は低金利政策を継続すると見込まれ、REITの資金調達環境は良好に推移すると思われます。
 

アジアREIT市場の状況
20171011アジアREIT指数

 シンガポールでは、上旬は景況感指数の 改善が好感された一方、北朝鮮情勢を巡る地政学リスクへの警戒感が強まったことなどから、一進一退の展開となりました。中旬は、 長期金利が上昇したことなどが悪材料となり、上値の重い展開となりました。下旬は鉱工業生産が前年比で市場予想を上回ったことなどを受けて、景気回復期待が高まり、底堅い展開となりました。香港では、上旬はオフィスなどに投資するREITの業績が堅調な内容となったことなどから、REITの事業環境に対する見方が改善し、堅調に推移しました。中旬以降は、香港財政官が不動産市況の先行きに慎重な見方を示したことなどから、REITの事業環境の不透明感が強まり、軟調な展開となりました。
 アジアREIT市場では、シンガポールREITは、景況感の改善を背景に不動産需要の拡大が見込まれることから、REITの業績改善への期待が高まり、堅調な展開が続くと考えられます。製造業の景況感が回復基調となっており、工場、研究施設、オフィスなどで生成されるインダストリアル・パー クの需要拡大が続くと思われます。また、海外からのビジネス客が増加することでホテルの需要が増加すると見込まれ、REITの業績改善期待が高まると考えられます。香港REITは、郊外型商業施設の賃料収益の改善が継続すると見られることから、底堅い展開になると思われます。好立地の郊外型商業施設では小売店や飲食店などからの出店意欲が強まっており、安定的な需給環境を背景に賃料は上方改定基調で推移すると考えられます。