2018年1月26日に日本リテールファンド投資法人が自己投資口の消却を行う予定であると発表しました。
 
 1.消却する投資口の総数  49,181口(消却前の発行済投資口の総口数に対する割合 1.84%)
 2.消却予定日   2018年2月9日  発行済投資口の総口数(自己投資口を除く。) 2,618,017口、自己投資口数0口

 プレスリリースで記載のある自己投資口の消却の根拠となる投資信託及び投資法人に関する法律第80条では自己投資口の取得について定められています。原則としてこの投信法第80条では、「投資法人は、投資法人の投資口を取得し、又は質権の目的として受けることができない。」としています。しかし、ただし書きが設けられており、第80条1項には「その資産を主として政令で定める特定資産に対する投資として運用することを目的とする投資法人が、投資主との合意により当該投資法人の投資口を有償で取得することができる旨を規約で定めた場合」に投資口を取得することはこの限りでない。としています。

 単純に自己投資口を消却するということは発行済投資口数が減ることになるので1口当たりの価値が上がることになります。また、これにより投資口価格も上昇すると考えられます。2018年もJ-REITの投資口価格はどこの投資法人も軒並み上昇しています。(2018年1月25日、26日は大分減少しましたが)が、日本リテールファンドのAM会社か更に高い価格であるべきと考えているようですね。これは何を意味しているのか考えてみると公募増資を利用した物件取得を考えていると推察することができます。J-REITマーケットが好調な中でさらに投資口価格を上げようとする背景はよほど高価な商業施設あるいは多数の商業施設の取得を目論んでいるのではないかと思われます。

 投信法第80条第2項ではただし書の場合においては、当該投資法人は、相当の時期にその投資口の処分又は消却をしなければならない。さらに投信法第80条第4項第二項の規定により投資口の処分又は消却を行う場合において、当該投資法人は、役員会の決議により、処分又は消却する自己の投資口の口数を定めなければならない。としています。あくまで口数を決めて役員会の決議により決定されるのでここ数日の投資口価格の下落に対応して臨機応変に対応した訳ではなさそうです。

 日本リテールファンド投資法人の投資口を保有している投資家さんにとっては良いニュースだと思います。日本リテールファンド投資法人は運用の歴史や決算説明会資料などを見ても内部成長、外部成長ともに落ち度はほとんど無く成長を続けている投資法人なので投資口の高値掴みをしたとしても長期的に見れば投資口価格は上昇していきやすい銘柄だと思います。