米国REIT市場の状況
20171211米国REIT

 米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に低金利政策を支持するパウエル氏が指名されたことなどを受けて、緩やかなペースで 金融政策の正常化が進むとの見方が拡がり、中旬にかけて上昇する展開となりました。また、資産運用会社が小売り系の大手REITに買収提案を行い、REITの業界再編期待が高まったことなども好材料となりました。その後は、税制改革法案の実現性を巡り見方が交錯する中、方向感に欠ける展開となりました。下旬は北朝鮮情勢を巡る地政学リスクに対する警戒感が強まったことなどから、上値の重い展開となりました。月末にかけては、2017年7-9月期の実質国内総生産(GDP)改定値が速報値から上方修正されたことなどを受けて、景気が拡大しているとの見方が拡がり、持ち直す動きとなりました。

 米国REIT市場は、良好な事業環境を背景にREITの業績拡大が継続すると見込まれることから、底堅い展開になると予想されます。インフレ率が低位で推移していることに加え、パウエルFRB次期議長は金融政策の正常化を慎重に進める従来方針を受け継ぐ姿勢を示していることから、長期金利の上昇は抑制され、良好なREITの資金調達環境が続くと考えられます。米国主要REITの2017年7-9月期決算では、景気拡大に伴う堅調な賃貸需要を背景にREITの収益は増加基調を維持しました。また、約5割のREITが2017年 通期の業績見通しを上方修正した一方、下方修正したREITは約2割にとどまった。引き続きREITの経営陣が先行きの業績推移 に強気の見方を示していることから、米国主要REITの業績拡大が続くと思われます。


欧州REIT市場の状況
20171211欧州REIT

 欧州REIT市場は、月初に英中央銀行(BOE)が政策金利を引き上げたものの、今後の利上げペースは緩やかになるとの見通しを示したことなどから、底堅く推移した。しかしその後は、一部のREITが市場予想を下回る業績を発表したことや、メイ英首相に対する退陣圧力が強まったことなどから政治的な不透明感が嫌気され反落しました。下旬にかけては、ドイツの連立政権の交渉が決裂したことや、英国の欧州連合(EU)離 脱交渉が難航しているとの報道などを受けて、長期金利が低下してREITの利回り面での魅力が高まったことから、反発する展開となりました。月末にかけては、ドイツのIFO 景況感指数などの主要な経済指標が市場予想を上回ったことなどから、市場心理が改善し、底堅く推移しました。

 欧州REIT市場は、ユーロ圏REITの堅調な業績や、英国RETの割安なバリュエーションを背景に底堅く推移すると考えられます。ユーロ圏では、ドイツの連立政権を巡る政治混乱への警戒感は残るものの、景気拡大や企業業績の改善を背景に企業のオフィスを拡張する動きが活発なことに加え、個人消費が底堅いことから、商業施設のテナント需要が良好であり、REITの業績は堅調な推移が続くと考えられます。
 英国では、EU離脱を巡る交渉が難航していることに加え、 グローバル企業を中心に英国からの撤退が予想され、景気への影響が懸念される一方で、REITの保有資産価値とREIT価格を比較したバリュエーション評価において、REIT価格は割安な水準にあると判断されることが相場を下支えすると考えられます。


豪州REIT市場の状況
20171211豪州REIT

 豪中央銀行(RBA)が理事会後の声明で経済成長率が今後加速するとの見通しを示したことなどを受けて、景気拡大期待が高まり、中旬にかけて上昇する展開となりました。また、 主に産業施設に投資する大手REITが強気の業績見通しを堅持したことなども好材料となりしまた。その後は、中国の10月の主要経済指標が総じて低調な内容となったことなどから、中国景気の減速懸念が強まり、投資家心理が悪化して反落しました。しかし下旬以降は、RBAが11月に開催した理事会議事要旨を公表し、賃金の伸び悩みを踏まえて、当面は低金利政策を続ける姿勢が示されたことなどから、REITの良好な資金調達環境が続くとの見方が拡がり、反発する展開となりました。

 オーストラリアリート市場は、不動産価 格の底堅い推移や良好な資金調達環境が相場を下支える要因となり、堅調な展開が続くと予想されます。商業用不動産市場では、海外投資家を中心とした堅調な投資需要を背景に不動産価格は上昇基調で推移しています。同国の商業用不動産は、先進国の中で相対的に保有利回りが高く、景気拡大を背景に賃料の上昇も期待できることから、今後も海外投資家の旺盛な投資需要が見込まれ、REITの純資産価値の算定根拠となる不動産価格は底堅く推移すると考える。金融政策面では、物価上昇率が伸び悩んでいることから、RBAは経済を支えるために緩和的な金融政策を継続すると見込まれ、REITの資金調達環境は安定的に推移すると考えられます。


アジアREIT市場の状況
20171211アジアREIT

 シンガポールでは、10月の製造業購買担 当者指数(PMI)が市場予想を上回ったことなどを受けて、景気の先行きに対する期待が高まり、中旬まで底堅い展開となりました。 下旬以降も、政府が2017年の経済成長率見通しを上方修正したことなどから、景気拡大が不動産需要の増加に繋がるとの見方が拡がり、上値を試す展開となった。香港では、商業施設に投資する大手REITの2017年4-9月期決算が良好な内容となったことなどを受けて、REITの業績に対する見方が改善し、堅調な展開となった。中旬以降も、2017年7-9月期の実質GDPが底堅い伸びとなったことや、大手REITが保有する商業施設の鑑定評価額を大幅に上回る価格で売却すると明らかにしたことなどが好材料となり、上昇基調で推移しました。

 アジアREIT市場では、シンガポールREITは、業績回復が見込まれ、底堅い展開が続くと予想されます。堅調な経済を背景に海外からのビジネス客の増加が見込まれ、ホテルや中期滞在型のサービス・アパートメントの需要が回復すると思われます。また、供給面では、客室の新規供給量は減少する見通しであり、宿泊施設に投資するREITの収益改善期待が高まると考えられます。香港REITは、業績拡大が続いていることから、 堅調な展開が続くと予想されます。香港最大手のリンク・REITの2017年4-9月期決算では、郊外型商業施設の賃料収入の増加を背景に不動産純収入は前年同期比で9.5%増加しました。香港郊外の生活関連消費は堅調に推移していることから、今後も安定的な収益拡大が続くと見込まれます。