米国REIT市場の状況
20171111米国REIT

 企業の景況感を示す経済指標が改善したことや、国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率予想を上方修正したことなどを受けて、景気拡大期待が強まり、中旬にかけて上昇する展開とりました。その後は、米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で利上げを継続する姿勢を示したことなどから、長期金利が上昇してREITの利回り面での魅力が低下し反落しました。下旬も、米上院が10年間で1.5兆ドルの減税を容認する2018年度の予算決議案を可決したことなどを受けて、 財政収支の悪化が懸念され、長期金利の上昇が続いたことが悪材料となり、軟調な展開となりました。月末にかけては、主要REITの7-9月期決算が概ね良好な内容となり、REITの業績動向に対する見方が改善したことなどから、下げ止まる動きとなりました。

  米国REIT市場は、良好な資金調達環境が続くと見込まれることに加え、REITの業績拡大が継続していることから、戻りを試す展開になると予想されます。与党・共和党 はこれまで財政赤字の解消を目指してきたことから、減税策は財政の悪化を抑えるため、適正な規模で打ち出されると思われます。また、FRBは物価上昇率の鈍化を背景に、金融政策の正常化を慎重に進めると予想され、長期金利の上昇圧力は限定的となり、REITの資金調達環境は安定的に推移すると考えられます。米国主要REITの7-9月期決算では、景気拡大を背景に好調な不動産賃貸需要が続いていることから、概ね市場予想を上回る内容となっていることに加え、通期の業績見通しを上方修正するREITが散見され、業績の拡大基調が続くと思われます。


欧州REIT市場の状況
20171111欧州REIT

 10月上旬は、スペインのカタルーニャ州の独立問題を巡る不透明感から、軟調な展開となりました。中旬は、IMFがユーロ圏の経済成長見通しを引き上げたことなどを受けて、景気拡大期待が高まり、上昇に転じました。下旬はスペイン政府とカタルーニャ州との対立が深まったことなどから、政治リスクへの警戒感が強まり反落した。月末にかけては、欧州中央銀行(ECB)は理事会で量的金融緩和の縮小を決めたものの、資産の買取り期間を延長したことなどを受けて、当面は緩和的な金融政策が維持され、REITの資金調達環境は安定的に推移するとの見方が拡がり、反発する展開となった。また、ユーロ圏の7-9月期の実質域内総生産(GDP)が市場予想を上回ったことも好材料となりました。

 欧州REIT市場は、英国の先行き不透明 感は残るものの、ユーロ圏REITの業績が 堅調に推移していることから、底堅い展開 になると予想されます。ユーロ圏では、カタルーニャ州の独立を巡る問題などの政治リスクへの警戒感は残るが、良好な経済情勢を背景に好調な不動産需要が続くドイツに加え、フランスでもオフィスや商業施設に 対する需要の改善が見込まれ、ユーロ圏REITの業績は堅調な推移が続くと考えられます。
 英国では、個人消費が減速基調にあり、商 業施設のテナント需要に悪影響を及ぼすと考える。また、欧州連合(EU)離脱交渉は難航している模様であり、先行きの不透明感から同国に事業拠点を置くグローバル企業を中心にオフィス需要の減速に対する警戒感が強まると思われます。
 

豪州REIT市場の状況
20171111豪州REIT

 10月上旬は8月の住宅建設許可件数が前月比で 市場予想を下回ったことなどから、住宅市場の先行きが懸念され下落しました。しかし中旬にかけては、消費者信頼感指数が堅調な内容となり、景気拡大期待が高まったことなどから、反発する展開となりました。その後も、原油などの資源価格が上昇したことなどを受けて、資源関連企業の業績改善への期待が投資家心理の改善に繋がり、上昇基調が続きました。また、豪中央銀行(RBA)が10月 に開催した理事会議事要旨を公表し、緩和的な金融政策を続ける姿勢が示されたことも好材料となった。下旬以降も7-9月期の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことなどから、インフレ懸念が後退し、長期金利が低下してREITの資金調達費用が軽 減するとの見方が拡がり、底堅く推移しました。

 オーストラリアREIT市場は、景気拡大やインフラ投資が追い風となり、REITの事業環境の改善が続くと見込まれることから、堅調な展開になると予想されます。雇用者数の増加などを受けて、消費者心理が改善していることから、個人消費の回復が見込まれ、商業施設に投資するREITの事業環境は改善すると思われます。また、主要都市では、州政府による鉄道や道路交通などへのインフラ投資の拡大に伴い、資材の輸送や保管需要が増加しており、物流施設や倉庫など産業施設に投資するREITの業績は底 堅く推移すると考える。金融政策面では、インフレ率が低水準にあることに加え、RBAは利上げを急がない姿勢を示していることから、低金利環境が続き、REITの良好な資金調達環境が維持されると考えられます。
 

アジアREIT市場の状況
20171111アジアREIT

 シンガポールでは、9月の製造業購買担 当者指数(PMI)が前月から改善したことなどを受けて、景気拡大期待が高まり上昇しました。中旬も、7-9月期の実質国内総生産 (GDP)が市場予想を上回ったことなどが好 材料となり続伸しました。下旬以降も、主要REITの7-9月期決算が概ね堅調な内容となったことなどから、REITの事業環境に対する見方が改善し、底堅い展開となりました。 香港では、8月の小売売上高が前年比で底 堅い伸びとなったことなどを受けて、商業施設に投資するREITの事業環境の改善期待が高まり、中旬にかけて堅調な展開となりました。下旬以降は、米国の金利上昇に連れて香港の長期金利が上昇したことなどから、REITの資金調達環境の悪化が懸念され、上値の重い展開となりました。

 アジアREIT市場では、シンガポールREITは、業績改善期待が高まり、堅調な展開が続くと予想する。シンガポール経済は、世界的な貿易量の増加を背景に製造業を中心とした輸出の拡大が牽引役となり、堅調な成長が続くと思われます。製造業の回復を受けて、ビジネスパークなどの産業施設に投資するREITはテナント需要の拡大が見込まれ、収益の回復期待が高まると考える。香港REITは、業績拡大が続くと見込まれ、底堅い展開が続くと予想されます。香港REITが主に投資する郊外型商業施設は、食品スーパーなど住民の生活消費に根付いたテナント構成となっており、店舗売上高は概ね堅調に推移していると感じます。そのため、テナント需要は好調であり、契約賃料の値上げによる業績拡大が続くと考えられます。