前月月末から当月月初にかけては多くの投資法人が借入金についての借り換えのプレスリリースを発表します。これは借り換えの資金移動の日時が月末であることが多いためなのですが、いくつか例を出してJ-REITに優しいレンダー、そうでないレンダーを見てみたいと思います。

フロンティア不動産投資法人
 
借入内容
 ①借入実行日:2018年2月1日 返済期限:2018年2月19日
 ②元本返済方法:期限一括返済
 ③担保・保証の有無:無担保・無保証
 ④借入先:みずほ銀行1,000百万円
 ⑤適用利率:みずほ銀行0.06077%
 ①借入実行日:2018年2月1日 返済期限:2026年2月19日
 ②元本返済方法:期限一括返済
 ③担保・保証の有無:無担保・無保証
 ④借入先:福岡銀行1,000百万円
 ⑤適用利率:福岡銀行0.35630%

 福岡銀行は借入金額はそこそこ高くかつ期間も8年と長期間に渡りますが、金利は0.33630%と低水準であることがよくお分かりになると思います。これはフロンティア投資法人のLTVが非常に低いため、無担保・無保証であっても金利水準は低いままであるということが起因していると考えられます。


日本アコモデーションファンド投資法人

 借入内容
 ①借入実行日:2018年1月31日 返済期限:2018年2月28日
 ②元本返済方法:期限一括返済
 ③担保・保証の有無:無担保・無保証
 ④借入先(七十七銀行2,000百万円、みずほ銀行2,000百万円、信用中央金庫1,000百万円、三井住友信託銀行1,000百万円)
 ⑤適用利率:(七十七銀行、信用中央金庫0.08545%)、(みずほ銀行、三井住友信託銀行0.08045%)

 日本アコモデーションファンドの借入れは金利上昇にそなえ、借入金の一部を短期間で借入れリファイナンスを繰り返すことで金利負担リスクを低下させようという狙いがあります。また、レンダー群の中で七十七銀行、信用中央金庫の方が金利が高いということがポイントです。J-REITは立ち上げてからまずメガバンクや信託銀行から借り入れを行います。そして地方物件の購入をきっかけに地方銀行、格付けの取得をきっかけに信用中央金庫等からの借入れる流れになります。七十七銀行、信用中央金庫などは日本アコモデーションファンドへの貸付け実績が短いこと、また、メガバンクや信託銀行よりも貸付の審査が厳しいということがお分かりいただけると思います。


東急リアル・エステート投資法人
 
借入内容
 ①借入実行日:2018年1月31日 返済期限:2023年8月5日
 ②元本返済方法:期限一括返済
 ③担保・保証の有無:無担保・無保証
 ④借入先(日本生命保険相互会社500百万円)
 ⑤適用利率:日本生命保険相互会社0.58%
 東急リアル・エステートは保険会社から5.5年の借入れを実行したケースです。これからわかることは借入期間が長くなると金利は上昇するというケースです。上記の日本アコモデーションファンドが信用中央金庫から短期で借りた場合の金利が0.08545%として単純計算すると0.469975%となります。もちろんその他条件による違いはありますが、保険会社は地方銀行や信用中央金庫よりも高い金利水準を投資法人に要求する傾向があることが分かります。


日本プライムリアルティ投資法人
 
借入内容
 ①借入実行日:2018年2月5日 返済期限:2022年8月5日
 ②元本返済方法:期限一括返済
 ③担保・保証の有無:無担保・無保証
 ④借入先(全国信用協同組合連合会4,000百万円)
 ⑤適用利率:全国信用協同組合連合会0.404%

 4.5年の借入れが0.404%です。上記の東急リアル・エステートと比べると約0.18%程度の差があります。全国信用協同組合連合会の方が保険会社よりも金利水準は低めであると考えられます。全国信用協同組合連合会も格付けの取得がなければ借り入れることが難しいので立ち上げ時の投資法人がこぞってJCRから格付け取得をしたがる理由はこれらメガバンクや信託銀行以外の機関から借入れを行いたいという考えがあるためです。

 
コンフォリア・レジデンシャル投資法人
 
借入内容
 ①借入実行日:2018年2月2日 返済期限:2025年1月31日
 ②元本返済方法:期限一括返済
 ③担保・保証の有無:無担保・無保証
 ④借入先(日本政策投資銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、三井住友銀行)シンジケート団全体で2,860百万円
 ⑤適用利率:シンジケート団全体0.65428%

 これはシンジケート団で長期の借入れを行ったケースです。5年以上を超える長期でかつ借入れ金額が多額である場合に用いられるのがこの通称シ団ローンと呼ばれる借入れ方法です。どのレンダーも金利は横一線になります。物件を取得する場合の借入れはだいたいシ団ローンが用いられます。そして金利水準は上記のいずれよりも高い0.65428%です。これは物件のリスクや格付けの有無よりも地方銀行や保険会社ではできないことなのでレンダーからすると高めの金利が取れるということを分かっているため足元を見ているということが分かります。


 まとめ

 これらにより借入金は短期借入れよりも長期借入の方が金利が高く、メガバンクや信託銀行は地方銀行や保険会社から借入れできる規模であれば金利が低く、地方銀行や保険会社から借入れが難しい案件については高い金利を投資法人に要求するということです。地方銀行や保険会社がシ団を組めないということは無いのですが、実務ベースでは信用中央金庫、全国信用協同組合連合会や保険会社は単独での貸付けを望むケースが圧倒的に多いです。もっと問題なポイントはAM会社の財務担当役員がメガバンク出身者が多いというところからロクに交渉されず、借入れている実態があるという点です。これもメガバンクや信託銀行の金利水準を下げることができない要因だと感じています。