かなり前のプレスリリースにはなりますが、日本リート投資法人が中小オフィスビル向けの商品として「移得-ittoku-」というものを導入すると発表しました。

「移得-ittoku-」の開発、導入の目的、内容

 日本リートが重点投資している中規模オフィスビルは、大規模オフィスに比べ、圧倒的に少なくなっています。その傾向は土地代と建築費の高騰により今も継続しています。供給が限定的である一方で、中規模オフィスの需要層となる中小企業は、大企業に比べて圧倒的多数を占めています(全国従業者規模 29 名以下の事業 所比率:93.4% 総務省統計局)。その需要は主に中小企業やベンチャー企業等により支えられていますが、空室率の低下や中規模オフィスビルの取り壊しによる大規模オフィスビルの再開発等の要因から、中規模オフィスビルの需給が非常に逼迫しています。

 加えて、設立の浅いベンチャー企業等はオフィス賃借におけるいわゆる与信を充足させる上で、入居時の資金や連帯保証人等の調整に大きな負担があり、オフィスを借りにくい状況にあります。 資産運用会社と日商保は、ベンチャー企業等を支援し、共に成長したいという共通の考えのもと、ベンチャー企業等の入居を支援することを含んだ「オフィスの新しい貸し方」を提案すべく本新商品を開発するに至ったとのこと。

  「移得-ittoku-」とは、入居時の資金負担がハードルとなるベンチャー企業等の負担する敷金を、原則として賃料の1か月分とし、代表者等による連帯保証を、日商保による保証契約を締結することにより不要とすることで入居を促進させるサービスです。保証人に保証会社である日商保を起用することで、入居テナントが賃料等を滞納した場合には、日商保がその支払いを行います。保有物件の賃貸借の場面で本新商品を活用することでより幅広い需要層をリーシング対象とすることが可能となり、かつ日商保の既存顧客へ直接アプローチが可能となることから、他の物件には無い新たなリーシングチャンネルの開拓ができるものと考えられるとしています。

 また、 日本リートの保有物件について、賃貸借の場面で本新商品を活用することで競合物件との差別化を図ることで、賃料増額の可能性につながるものと考えているようです。
 日本にベンチャー企業が多いことは百も承知していますが、投資家さんからの立場からするとお金が無いから中小規模のオフィスビルに入居するわけで、賃貸借契約更新時に賃料増額で改定できるという可能性は大規模オフィスビルのテナントに比べれば低いと言わざるを得ないのが現状だと思います。

 森ヒルズリート投資法人やグローバル・ワン不動産投資法人の投資口価格がなぜ高いのかということを考えれば投資家さんは中長期的に安定しているJ-REIT銘柄を好む傾向にあるので大規模オフィスビルの取得を目指した方が良いのではないかというのが個人的な感想です。
 しかし、ベンチャー企業入居の際に他の大手と同様にもしくはより多くの敷金を欲する物件オーナーが多いのでこの敷金を賃料の1ヶ月分にするというチャレンジは評価できます。
 プレスリリースには新規テナントが日商保にいくら払うかは記載されていないので結果としてテナントの負担額が変わらないという商品でなければ日本リートの保有物件の稼働率向上に貢献してくれるかもしれません。