オフィス特化型REITの5つのポイント⑤分配金の成長は安定的に成長しやすい何度か他の記事でも申し上げておりますが、オフィス系REITが内部成長をする場合の要点を整理します。

 ①新規テナント入居の際の募集賃料を高く設定する。

 ②既存テナントの契約更新時の新規賃料を既存賃料よりも高く設定する。

 ③バリューアップ工事でテナントの利便性や物件単体のブランド価値を高める。

 ④PM・BM会社と連携しコストの削減を図る。
 
 以上の4点があげられます。

 この中で④については物件の管理の実務を行うPM会社にの負担が大きくなる場合が多くそのコスト削減効果は限定的であることが多いのであまり期待できません。

 結果①~③がAM会社に求められる仕事ということになります。

  しかし、決算説明会資料を見ても①、②についてアピールされることは稀です。そこをアピールしてしまうと入居しているテナントにとっては高い賃料で契約されたと思うため次の契約更新が行いづらくなることや、高い賃料で入居していることをテナントである法人が自身の投資家に知られることを好ましくないと思っているため積極的なアピールが出来ないのが実情です。少数の大規模物件を運用しているREITでない限り交渉が失敗するとテナントが他の代替ビルに移ってしまうため絵に描いたような成果を出すのは難しいと思います。

  そこで決算説明会資料には③のバリューアップばかりがフォーカスされる仕組みになっているのです。しかしバリューアップにより賃料が増加するケースは稀です。テナントにとっては家賃を払い入居している以上、綺麗で利便性に富んだオフィスであることは当たり前なので賃料増額の交渉材料として機能しないものと思われます。

  結果、オフィス系REITの分配金は安定推移していくということになります。

 結局安定推移するREITであるならば、レジデンスよりも賃料増加による可能性が少しでもあるオフィス系REITに投資した方が良いのかもしれません。