2018年6月18日に日本ヘルスケア投資法人の決算が発表されました。
当初の予想一口当たり分配金が3,240円のところ3,303円で着地しました。
尚、利益超過分配金860円が含まれています。

もっと外部成長を積極的に行うべき

 2018年4月期も物件の取得の動きがありませんでした。そんなに物件を見つけられない程シニア物件が少ない訳では無いと思うのですが、シニア系J-REITは全然物件を取得してくれないのは寂しいですね。物件の高値掴みはしてほしくないとは思うものの、資産規模の拡大はもっとスピーディーに行われても良いと感じます。
 厚生労働省が1日発表した人口動態統計によると、2017年に生まれた子どもの数(出生数)は前年よりも3万人余り少ない94万6060人となり、過去最少を更新しています。一人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.43と2年連続で低下していることからシニアマーケットとしては非常に追い風なはずなのですが、AMの取得判断は相変わらず鈍いままです。シニア物件の場合は賃料増額はほぼ望めないので内部成長はお年寄りの入居時の入居一時金頼みというところもありますが、病院もポートフォリオに加えることで毎期の分配金の成長シナリオも描けると思います。日本ヘルスケア投資法人はシニア系J-REITの第一号なのでシニア物件のマーケットリーダーとしてポジションを構築して欲しいですね。
 2018年4月期実績は、営業収益697百万円、営業利益273百万円、経常利益247百万円、 当期純利益は246百万円となりました。なお、2018年4月期末現在保有する物件について、賃貸可能面積は67,298.83㎡、稼働率は100.0%となっています。

 
ただ待っているだけで運用報酬が増額する仕組みを構築
日本ヘルスケア投資法人純資産・運用報酬比率推移

 財務面についてはが2018年4月期において行った資金調達はありませんが、総額1,800百万円の借入金に対し将来の金利上昇リスクをヘッジするための金利スワップ契約を締結しています。2018年4月期末における有利子負債残高は総額9,800百万円(短期借入金500百万円、長期借入金9,300百万円)となっています。長期借入金のうち、1年以内に返済期日が到来するものが2,100百万円あります。平均残存年限は1.8年となっています。出資総額(純額)は10,165百万円、発行済投資口の総口数は74,632口となっています。
 尚、日本ヘルスケア投資法人は運用報酬の規約を改定しており、貸借対照表上の総資産額に連動していた運用報酬Ⅰ(運用資産基準)を投資法人の運用資産評価総額に連動するようにし、上限料率(年率)を0.3%から 0.15%に引き下げるとともに、賃貸事業収益に連動する運用報酬Ⅱ(賃貸事業収益基準)の上限料率を5.0%から 6.5%に引き上げる変更を行います。なお、この規約変更は、本投資法人の第10期営業期間の初日である2018年11月1日から効力を生じることになります。鑑定評価額は毎期上昇する一方なので、物件を取得しなくても高い運用報酬が得られる仕組みを構築したということで投資家にとってはネガティブな情報です。この規約改定により外部成長は遠のいてしまったと思います。