2018年5月期決算のJ-REITのNAV倍率、含み益、稼働率の推移を見ていきます。

・NAV倍率
20180731NAV倍率推移
20180731NAV倍率推移2
 
 NAV倍率は投資法人の含み益とは密接に関係していますが、それだけではなく市場
価値(投資口価格)も影響してきます。実際の投資口価格が理論価格よりも上回っているのはユナイテッド・アーバン投資法人、アクティビア・プロパティーズ投資法人、日本プロロジスリート投資法人の3つです。両方ともアグレッシブな外部成長を実施しており、スポンサーが強力な投資法人であるため収益性と安全性を求めている投資家さんのニーズに答えられる銘柄であると思われているようです。反対にスポンサーは強力であるものの外部成長の動きが少ない大和証券オフィス投資法人、阪急リート投資法人は狙いといっても良さそうです。大和証券オフィスについてはどうしてもスポンサーが金融系のため物件情報取得のパイプラインは言う程広くないという印象です。阪急リートについては福岡リートの違い地域のリーダー的な役割をこなせていないということも影響していると考えています。両投資法人ともどちらかというと外部成長について慎重というというところが株式マーケットに伝わっていないというところが同業界で働く私には残念としか言いようがありません。


・含み益
20180731含み益推移
20180731含み益推移2

 含み益は鑑定評価額-帳簿価格で算定しています。今期も順調に含み益を積み上げています。日本プロロジスリート投資法人は物件数はそれほど多くはありませんが、物件の取得時期がマーケットの上昇基調に上手く乗れたためにユナイテッド・アーバン投資法人を凌ぐ含み益を計上しています。しっかりとマーケットを見て取得の判断を下しているということと、戦略実行のタイミングが5月・11月決算投資法人の中ではトップであると認めなければならないと思います。反対にユナイテッド・アーバン投資法人については過去に如何に高値で物件を取得してしまっていたか?という点がバレてしまっています。鑑定評価額以下の価格で取得しているので言い訳はいくらでもできるのですが・・・。現状は鑑定評価額以上で物件を売却できる環境であるためユナイテッド・アーバンが物件の入替えをしていることは評価できます。アクティビア・プロパティーズ投資法人も物件取得価格が高い物件が多いですがまだ13期であるため物件売却の判断を下すのはもう少し先になりそうですが、ユナイテッド・アーバンと同じ轍を踏んでいることは明らかですね。


・稼働率
20180731稼働率推移
20180731稼働率推移2

 5・11月決算の稼働率は阪急リート投資法人と大和証券オフィス投資法人は高めに推移したことはポジティブですね。両投資法人とも直近5期間では最高なのでAM会社はよく運用できたと評価できます。今後はこの稼働率を維持しつつ賃貸借契約更新時にしっかりと増額できるようにバリューアップ工事やその他の施策を通じてアプローチしていって欲しいと思います。個人的には恒常的に99%台で推移しているアクティビア・プロパティーズ投資法人は驚異的ですけどね。テナントがオペレーターであるため常に稼働率が100%である大江戸温泉リート投資法人を除けばほぼ全ての投資法人で前期よりも上昇しているのでリーシングについては好調だと言えます。実際にテナントの業績が好調であるということも予想できるので個人的には今後もJ-REITの投資口価格の上昇は続いていくのではないか?と考えています。