2019年1月30日に日本リテールファンド投資法人が2018年8月28日付「国内不動産信託受益権の取得に関するお知らせ【m-シティ柏】」でリリースしたm-シティ柏の取得日について「2019年2月1日 」から「2019年3月20日または2019年3月29日」少しファジーな日程に変更になったと発表しました。

取得資産の概要

  ①取得資産:m-シティ柏  
  ②取得価格:5,520百万円
  ③鑑定評価額:5,980百万円(2018年8月1日時点)
  ④売買契約締結日:2019年8月1日 
  ⑤引渡日:2019年2月1日
  ⑥取得先:非開示
  ⑦取得資金:自己資金 
  ⑧支払方法:引渡時全額支払
  ⑨立地:地区計画により、周囲は大型専門店や飲食店などの商業施設が集積し、エリア全体の商業目的性が高いです。首都圏を環状に結ぶ主要幹線道路(国道16号線)沿いに位置するため、視認性が高く、駐車場へは 東西2方向からの出入りが可能な、周辺競合店舗より優位な立地。周辺を住宅密集地域に囲まれ、大型公園に隣接する高い集客力を有する立地でもあります。 


取得予定日の変更の理由

 投資法人は、2018年8月30日付の売買契約締結後に判明した本物件の消防法等の遵法性にかかる指摘事項につき、売主又はテナントの責任と負担にて治癒予定であり、売主と治癒後の取得について合意をしていますが、当該指摘事項の治癒に時間を要すため、取得予定日を変更することとしました。
 この消防法に遵法性違反については実務上はよくあるケースです。物件を取得する際には鑑定評価会社等からエンジニアリングレポートを取得し違反時効などを改善していきます。そして遵法性がクリアになった時点で投資法人がその対象物件を取得することになります。建設基準法による違反の場合はほぼ所有者の問題で、かつ大きな問題である場合が多いので取得を断念したり建替えたりする必要があると取得自体を断念することになるため取得遅延が起こる場合は少ないです。
20190206日本リテールファンド投資法人消防法遵法性問題

 しかし、消防法の場合はテナントが違反しているケースが多いのです。例えば、避難訓練を定期的に行っていなかった場合などが該当します。所有者は「避難訓練を行ってください」ということしかできず、その実施タイミングはテナントに依存することになります。テナントも自分の事業そっちのけで避難訓練を優先してくれる訳では無いので粘り強く交渉していく必要があります。

 これがオフィスビルやレジデンスでなく商業施設の場合はもっと大変です。防火扉の修復や防災設備の更新などの場合は一部区画を通行止めにするなどして対応するのですが避難訓練の場合は建物全体を封鎖して行われることも多いためテナントはその日の売上を失うことになるので割ともめやすいんですよね。日本リテールファンド投資法人では具体的な理由を述べていないのですが売主又はテナントの責任と負担にて治癒予定という点でただの修繕・撤去など工事系では無いのではないかと予想します。
 
今後の見通し

 2019年2月期(第34期:2018年9月1日~2019年2月28日)及び2019年8月期(第35期:2019年3月1日
~2019年8月31日)への影響は軽微であり、運用状況の予想に変更は無いとしています。