ケネディクス・オフィス投資法人が第10回無担保投資法人債にGreen1を付与されたと発表しました。 Green1はグリーンボンド評価の最上位の評価になります。

 グリーンボンドは企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券をグリーンボンドと言います。J-REITの場合グリーンプロジェクトに係る通常複数の資産(融資債権、リース債権、信託受益権等を含む。)を担保とし、これらの資産から生まれるキャッシュフローを原資として償還を行うことになります。グリーンボンドも通常の格付けと同じように格付機関から評価されます。これを一般債券と区別し「グリーン性評価」と呼ばれています。
 日本格付研究所(JCR)はこのグリーン性評価について大きくフェーズ1とフェーズ2の2つに分けて評価しています。

評価フェーズ1:グリーン性評価

 最初に、調達資金が明確な環境改善効果をもたらすグリーンプロジェクトに充当されているかを確認します。次に、資金使途がネガティブな環境への影響が想定される場合に、その影響について社内の専門部署又は外部の第三者機関によって十分に検討され、必要な回避策・緩和策が取られているかについて確認します。最後に、持続可能な開発目標との整合性を確認します。
 
 ケネディクス・オフィス投資法人の場合、投資法人債の資金使途として①DBJ Green Building 認証における3つ星以上、②CASBEE不動産評価認証におけるB+ランク以上、③BELS評価における3つ星以上のいずれかを見たす、もしくは取得予定の物件を取得することが定められています。(上記認証資格は払込日またはレポーティング日から過去2年以内に取得済、または取得予定であるものが対象としています。)

評価フェーズ2:管理・運営体制及び透明性評価

 グリーンボンドを通じて実現しようとする目標、グリーンプロジェクトの選定基準とそのプロセスの妥当性及び一連のプロセスが適切に投資家等に開示されているか否かについて確認されます。

 ケネディクス・オフィス投資法人は、不動産の投資運用における環境、社会、ガバナンス(ESG)配慮の重要性を認識し、企業の社会的責任として持続可能な社会の実現を目指してサステナビリティの向上に取り組むことを重要な経営課題と位置付けています。特に環境配慮への取組みについて、資産運用会社では、 サステナビリティ方針を制定しており、環境方針においては、環境方針を制定しているほか、外部評価機関による認証・評価制度を積極的に活用することで、環境に配慮した投資運用を行っていると評価しています。

 他にも資金管理の妥当性及び透明性、レポーティング体制、組織の環境への取組みも評価の対象となっています。調達資金の管理方法は、発行体によって多種多様であることが通常想定されますが、投資法人債により調達された資金が、確実にグリーンプロジェクトに充当されること、または、その充当状況が容易に追跡管理できるような仕組みと内部体制が整備されているか否かを確認します。また、発行体の経営陣が環境問題について、経営の優先度の高い重要課題と位置づけているか、 環境分野を専門的に扱う部署の設置または外部機関との連携によって、グリーンボンド調達方針・プ ロセス、グリーンプロジェクトの選定基準などが明確に位置づけられているか等を評価が評価されます。単に内部統制というだけでなく経営課題として位置づけているかという点からも資産運用会社の経営陣の考え方が評価に影響を与えているということになります。

■評価結果
20190216JCRグリーンボンド評価マトリックス

 評価対象のフレームワーク及び投資法人債について、JCR グリーンファイナンス評価手法に基づき、 「グリーン性評価(資金使途)」の評価を“g1”、「管理・運営体制及び透明性評価」の評価を“m1”とし た。この結果、「JCR グリーンボンド評価」を“Green1”とした。また、フレームワーク及び投資法人債 は、グリーンボンド原則及び環境省によるグリーンボンドガイドラインにおいて求められる項目について基準を満たしていると考えられると評価しており、それによりJCRグリーンボンド評価の最上位の「Green1」となっています。

 あくまもでもサスティナビリティの貢献しているかという側面しか見ていない評価です。社会貢献と投資家が受け取る分配金は金額は連動している訳ではないので、本当に債券としての信頼性・安定性を見る場合は、しっかり債券格付もチェックすることをお勧めします。