2019年4月12日にタカラレーベン不動産投資法人の決算が発表されました。
当初の予想一口当たり分配金が3,300円のところ3,398円で着地しました。
尚、利益超過分配金が198円が含まれています。

新たなパイプラインは何かできるのか?
20190419タカラレーベン不動産投資法人財務指標

 2019年2月期については外部成長の動きはありませんでした。運用面については2019年期末に保有する27物件(取得価格合計64,370百万円)について、各物件における積極的なリーシングによる稼働率の上昇や賃料の増加、コスト削減等による収益性の向上に注力した運用を実施しました。なお、当期末日におけるポートフォリオの総賃貸面積は99,090.86㎡、稼働率は98.3%でした。

 2019年4月12日にプレスリリ―スにて霞ヶ関キャピタル㈱とパイプライン・サポート契約締結を締結したことを発表しました。タカラレーベン不動産投資法人はすでにスポンサーであるる㈱タカラレーベンとPAGインベストメント・マネジメント㈱とパイプライン・サポート契約を締結していますが、㈱タカラレーベンとPAGインベストメントが得意とするオフィスやレジデンス以外のアセットについての物件取得機会の提供を受けることを目的に締結したとしています。

 タカラレーベンについてはタカラレーベンインフラファンド投資法人というインフラファンドのスポンサーにもなっているため霞ヶ関キャピタル㈱はそちらの方面での繋がりであると推察します。

 霞ヶ関キャピタル㈱の事業内容は自然エネルギー等による発電事業及びその管理・運営並びに電気の供給、販売等に関する業務不動産の売買、賃貸、管理及び仲介、ショッピングセンターの運営等としており、どう考えても不動産の売買、賃貸、管理及び仲介での業績は大してものではなく、メガソーラー等の発電所の管理運営に特化した企業として設立したものの不動産マーケットが好調だったことから不動産コンサル(主に売買仲介)に舵を切った企業であるといえます。それは霞が関キャピタル㈱のセグメント情報を見れば不動産コンサルティング事業のみが黒字であることから大方予想ができると思います。
 既にインフラファンドのスポンサーとなっているタカラレーベンがJ-REITに発電所を売却するサポートを行う可能性は低いため霞ヶ関キャピタルはただの情報提供を終わる可能性が高いと感じます。


朝日信用金庫を招聘できたことは〇

 2019年2月期の財務面においては、2018年7月30日付で実施した㈱三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローンによる借入れのうち、1,340百万円について、2018年12月28日付で2018年8月期に取得した資産についての消費税還付金により期限前弁済を行いました。この結果、2019年2月期末時点における借入金残高は33,260百万円となり、LTVは47.8%となっています。

 タカラレーベン不動産投資法人のレンダーポートフォリオは三井住友銀行を基調としつつも地方銀行のバリエーションも豊かなのが特徴です。一番大きいのは朝日信用金庫から500百万円の借入れを行っているという点です。信金中央金庫と信用金庫の親玉はJ-REITに融資するにも関わらずこれまで一般の信用金庫がJ-REITに融資することはありませんでした。地方銀行よりもより経営が苦しい信用金庫が
J-REITに融資したということ信用金庫として大きな一歩だと思います。

 タカラレーベン不動産投資法人は他の投資法人と比べ何か素晴らしい収益率や立地を誇るような物件はありません。スポンサーのタカラレーベンや、PAGインベストメントもJ-REITのスポンサーとしては正直体力がある企業では無いのですがそこの傘下の投資法人に融資した朝日信用金庫は素晴らしいと思います。信用金庫や一部の地方銀行は「前例が無い」ということでノンリコースローンに全く検討しないところが多い中で今後は信用金庫がJ-REITに参加するよい機会を作ってくれたのではないかと思います。