2019年4月17日に平和不動産リート投資法人が取得している日本格付研究所(JCR)の格付けについて評価が上昇していると発表されました。

■格付評価

・長期発行体格付:A  → A+
・格付の見通し:ポジティブ → 安定的
・債券格付:A  → A+

■格付事由

①平和不動産アセットマネジメントが投資法人の資産運用業務を担い。東京都区部を中心とするオフィス及びレジデンスへの投資を実践しており、現行ポートフォリオは計104 物件(オフィス31物件、レジデンス73物件)で構成され、取得価格総額1,731億円の資産規模となっています。
 
②スポンサーサポートも活用し、ポートフォリオの質(収益性や安定性)の向上を企図した資産の入れ替えを継続的に進めています。こうした取り組みを通じ、相対的に分散度の高いポートフォリオを維持しつつ、NOI利回り(18/11期:5.34%)や含み益(18/11期末:303 億円)の水準は緩やかながら改善基調。賃料増額改定の実績、2019年2月末で 98.08%の稼働率等のトラックレコードも確認できる。 今後についても賃貸事業運営の堅調な推移が想定され、ポートフォリオ・キャッシュフローの安定性は従前より向上するとJCRでは考えている。加えてレバレッジコントロールの状況や、有利子負債の調達内容、金融機関取引状況などからみて、財務の健全性は確保されている。以上を踏まえ、格付を1ノッチ引き上げ、見通しは安定的とした。

③2009年10月にスポンサーが平和不動産に変更されて以降、投資法人は現時点まで34物件、707億円の物件を取得。このうち、直接取得を含み平和不動産のサポートを介しての取得が27物件、595億円を占めており、スポンサーとの強固な協働関係の下での、ウェアハウジング、ブリッジファンド、新規開発等のサポート機能も活用した資産入れ替え等がポートフォリオの質の向上に寄与している。外部成長については資産規模2,000億円の達成を中期目標としているが、資産入れ替え戦略の取り組み継続等を通じ、 NOI利回りなど本投資法人の取得時の目線に沿った形で進展していくかに注目していくとしています。内部成長に関しては、PM、BM業務等におけるスポンサーグループのバリューチェーンも活用した賃料ギャップの縮小あるいは解消による収益のアップサイドの取り込みや、保有物件の経年対応(築後20年超が25物件)の状況をフォローしていくとしています。

④2018月11期末で資産総額ベースの簿価LTVが44.1%、鑑定LTVが42.0%と、AMの想定(鑑定LTVで50%~55%)よりも保守的な水準でコントロールされている。デット・ファイナンスでは、三井住友銀行をはじめメガバンクを中心としたレンダーフォーメーションを構築しているほか、投資法人債の発行による直接金融へのアクセス、コミットメントライン(限度額60億円)の設定による資金調達手段の多様化が図られていると判断。平均残存年数の長期化、返済期限の分散化、金利固定化、平均調達金利の低減等の実績も示されている。今後についても、適切なレバレッジコントロールの継続や、一段の返済期限の分散化、平均残存年数の長期化などの取り組み状況に注目していくとしています。

 格付け変更は随分前の情報ですし、JCR自体はある程度「無難」な格付けを取得する傾向にあります。そのため各投資法人が他の格付けを取り下げてJCRの格付けのみに絞るところから推察できると思います。資産運用会社(AM会社)からすると高い金を払っているのに評価が「据え置き」や「格下げ」されることは我慢ならないのは同業なのでよく分かりますけどね。

 ただ、評価機関からするとJ-REITは物件から得る賃料収入を分配金として投資家さんに支払う仕組みなのでスポンサー依存が強い投資法人については物件のみで評価できないところを大きなリスクとして考えているという点もAM会社側は理解しないといけないとも思います。

 今回の平和不動産リート投資法人についてはスポンサーがしっかり本業を持ち物件の開発能力も有している平和不動産です。個人的にはもっと早く評価が上がっても良いという気がしていましたが今更感はあります。