東京商工リサーチが2019年6月7日に2019年3月期の不良債権を示す「リスク管理債権」を調べたところ全体で6兆4,459億円だった。前年同期(6兆4,644億円)より185億円(0.2%減)減少した。2014年3月期以降、6年連続で前年同期を下回り、3月期としては過去最低を更新したと発表しました。
リスク管理債権は破綻先債権、延滞債権、3カ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権を集計したものです。
 リスク管理債権が前年同期を上回った銀行は、大手行7行のうち3行、地方銀行64行のうち30行、第二地銀40行のうち13行、合計46行と前年同期(14行)の3.2倍に増加しました。また、「貸倒引当金」を積み増した銀行は、大手行2行、地方銀行36行、第二地銀19行の計57行と、前年同期(20行)の2.8倍に増えました。リスク管理債権が減少した一方、貸倒引当金を積み増した銀行が増加したことで、銀行の取引先への支援が今後、どう展開するか注目されています。

20190613東京商工リサーチリスク管理債権状況

 一方、「貸出金」合計は537兆1,564億円(前年同期比5.0%増)で、8年連続で増加しました。9割にあたる101行(構成比90.9%)で貸出金を伸ばしました。貸出金に対する貸出金利息は1.3%で、前年同期(1.2%)に比べ0.1ポイント上昇し、金利が低金利競争から適正化に動き出す兆しもうかがえます。

 リスク管理債権の内訳では、「破綻先債権」が2,295億円(前年同期比5.4%減)、「延滞債権」が4兆8,742億円(同3.9%増)、「3カ月以上延滞債権」が558億円(同11.2%減)、「貸出条件緩和債権」が1兆2,859億円(同12.5%減)でした。唯一増加した「延滞債権」は、シェアハウス問題で揺れたスルガ銀行が2,400億円(前年同期比1,838億円増)、三井住友銀行が3,863億円(同574億円増)、みずほ銀行が3,431億円(同435億円増)と増加しました。

 スルガ銀行を除く110行の「リスク管理債権」は合計6兆760億円で、前年同期(6兆3,923億円)に比べ3,163億円(4.9%減)減少しました。東京商工リサーチの情報を見るとスルガ銀行のみが悪いように感じますが、大手行とされているメガバンク以外にも横浜銀行や静岡銀行等、経営成績の良い地方銀行はかなりというかがっつり不動産業向けの融資を行っています。不動産の場合は資金の流れや賃料収入の予想が立てやすいことから金融機関としては安心して貸し出せるので小売業や飲食業のように景気感応度が高かったりリスク変動要因が多い業界には貸したくないのが本音だと思います。

 「リスク管理債権」合計は、前年同期比で2018年3月期12.6%減→2018年9月中間期8.5%減→2019年3月期0.2%減、と減少幅は縮小している。一方、「貸倒引当金」合計は、2018年3月期15.1%減→2018年9月中間期8.0%減→2019年3月期0.1%増と、2019年3月期には2009年9月中間期以来の増加に転じました。
 業績改善が進まない企業や先行きが不透明な企業も多く、「貸倒引当金」を積み増す銀行が2.8倍に増加したことは注視が必要としています。

 111行の2019年3月期の「貸出金」は537兆1,564億円(前年同期比5.0%増)で、2012年3月期以降、8年連続で前年同期を上回っています。貸出金の増加率は、調査を開始した2008年3月期以降で最高です。

 111行のうち、大手行が全7行、地方銀行は59行(構成比92.1%)、第二地銀は35行(同87.5%)、計101行(同90.9%)で貸出金が前年同期を上回りました。この背景には、不動産業向けの増加もあるが、事業性評価に基づく企業の経営再建などへの取り組みで貸出を伸ばしたとみられるとしていますが経営再建などへの取り組みは一部の企業のみに限られ多くはやはり不動産業向けの増加であることは不動産業界に居れば分かります。現状は少しでも融資先の業績が悪ければ引当金を積み後はひたすら回収要求です。金融機関が経営再建に乗り出す場合は自身がその企業のメインバンクとなっている場合のみです。後の金融機関については知ったことではないので強い回収要求に出ます。具体的には融資額と同額の預金を口座に置いてくれといったことや、定期預金を担保として提供させるなどを行います。つまり経営再建が進まない理由は再建したい企業よりも金融機関同士の都合によるもの(連携の悪さ)が非常に大きいと思います。個人的には経営再建に関する融資は今後伸びていく可能性は少なくより不動産に対する融資が増えるのではないかと思います。不動産もより厳選され大手不動産業者やJ-REITに対する融資が増えると考えています。金利については日銀の金利政策に関係なくJ-REITについては「相対的に低めの金利」が適用されていくと予測します。