2019年7月10日に日本アコモデーションファンド投資法人が投資法人債の発行登録書を提出したと発表しました。
 また、2019年7月12日にOneリート投資法人が投資法人債の発行に係る包括決議を行ったと発表しました。Oneリート投資法人は2019年1月31日に、投資法人債の発行登録書を関東財務局に提出しています。
 投資法人債の発行は第百三十九条の三に投資法人は、その発行する投資法人債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集投資法人債(当該募集に応じて当該投資法人債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる投資法人債)について次に掲げる事項を定めなければならないとされています。

一 募集投資法人債の総額
二 各募集投資法人債の金額
三 募集投資法人債の利率
四 募集投資法人債の償還の方法及び期限
五 利息支払の方法及び期限
六 投資法人債券を発行するときは、その旨
七 投資法人債に係る債権者が第百三十九条の七において準用する会社法第六百九十八条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨
八 投資法人債管理者が投資法人債権者集会の決議によらずに第百三十九条の九第四項第二号に掲げる行為をすることができることとするときは、その旨
九 募集投資法人債の割当てを受ける者を定めるべき期限
十 前号の期限までに募集投資法人債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合においてその残額を引き受けることを約した者があるときは、その氏名又は名称
十一 各募集投資法人債の払込金額若しくはその最低金額又はこれらの算定方法
十二 募集投資法人債と引換えにする金銭の払込みの期日
十三 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

 これは「発行登録制度」と呼ばれるもので、発行予定期間や発行予定額などを記載した発行登録書を予め提出しておけば、投資法人債の発行時には、発行条件等を記載した発行登録追補書類を提出するだけで機動的・弾力的に有価証券を発行できるという制度です。
 
日本アコモデーションファンド投資法人が提出した発行登録書の概要

(1)発行予定額:1,000億円
(2)発行登録書提出日:2019年7月10日
(3)発行予定期間:2019年7月18日から2021年7月1 日まで
(4)資金使途:特定資産の取得資金、借入金の返済資金、投資法人債の償還資金、敷金・ 保証金の返還資金、修繕等の支払資金及び運転資金等
 実は日本アコモデーションファンド投資法人は投資法人債を発行したことは有りません。しかし、定期的に投資法人債の発行登録書を関東財務局に提出しています。これはもしもの時に資金調達方法の多様化の一環として保険として準備しているという状態です。一般的に投資法人債は借入金よりも高い金利を要求されるため借入れで低い金利で借りられるのであれば投資法人債にて調達する必要は無いという判断だと考えられます。
 仮に投資法人債を発行する場合は既に発行登録書を提出しているので後は投資法人の役員会で細かい条件を決定することになります。2019年7月12日にOneリート投資法人が発表したプレスリリースはこの「細かい条件を決定したよ」というプレスリリースになります。これは投資法人債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として内閣府令で定める事項の決定は、役員会の決議によらなければならない。とされているからです。


Oneリート投資法人が2019年1月31日に提出した発行登録書の概要

(1) 発行予定額:500億円
(2) 投資証券の形態:投資法人債券(短期投資法人債を除く。)
(3) 発行登録書提出日:2019年1月31日
(4) 発行予定期間:発行登録書による発行登録の効力発生予定日(2019年2月8日)から2年を経過する日(2021年2月7日)まで
(5) 手取金の使途:特定資産の取得資金、借入金の返済資金、投資法人債の償還資金、敷金及び保証金の返還資金、修繕等の支払資金、運転資金

Oneリート投資法人が2019年7月12日に決議した投資法人債の発行に係る包括決議の概要
 
(1)募集投資法人債の種類:国内無担保投資法人債
(2)募集投資法人債の総額の上限の合計額:50億円以内
(3)発行時期:2019年7月22日から2019年10月31日まで
(4)各募集投資法人債の金額:金1億円以上
(5)担保・保証:募集投資法人債には担保及び保証は付さず、また特に留保する資産はありません。
(6)資金使途:既存借入金の返済資金に充当する予定です。

 つまり、これによりより後発のOneリート投資法人の方が古参の日本アコモデーションファンド投資法人よりも先に投資法人債での資金調達実績があるということです。もっと言うとOneリート投資法人は資金調達の多様化実績を積んでいるということが分かります。これはレンダー対策としても有効です。レンダーが資金の貸出しや投資法人債の引受けを渋る理由の1つは「前例が無い」です。投資法人が投資法人債を発行する意味はこのレンダーの言い訳潰しの一種でもあります。
 ただ、Oneリート投資法人の場合はスポンサーがみずほグルーブであるため前例が無くても引き受けると思います。それでもOneリート投資法人が投資法人債を発行するのは借入金の金利よりも投資法人債の金利の方が高いので少しでもスポンサーの利益に貢献しようという腹であるのではないかと思っています。