2019年8月9日に日本リテールファンド投資法人、産業ファンド投資法人、MCUBS MidCity投資法人という三菱商事がスポンサーの3投資法人が金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース」が2017年6月に公表した提言の趣旨に賛同し、署名したと発表しました。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の概要

 TCFDとは、Task Force on Climate-related Financial Disclosureの略称で、主要国の中央銀行や金融規制当局で構成される金融安定理事会が2015年に設置しました。2017年6月には、金融市場の不安定化リスクを低減するため、企業に対して中長期の気候変動に起因する事業リスクと機会、これらの財務状況への影響及び具体的な対応策や戦略等を開示することを提言しています。

 堅苦しくかつ英語を質の悪い翻訳ソフトで強引に日本語化したようなリリースですが、皆さんのような投資家さんには関係ない話かと思うとそうではないのです。

 ブルームバーグによると、組織が現在直面する最も重大で、おそらく最も誤解されているリスクの一つが、気候変動に関するものである。温室効果ガスの継続的排出により地球の温暖化が進み、その温暖化によって破壊的な経済的・社会的帰結がもたらされ得るということが広く認識されてはいるものの、物理的影響の正確なタイミングと重大性を推計することは難しい。この問題の規模が大きく長期的であるという性格により、それは特に経済的意思決定を求められる状況において、他に類を見ないほど難しいものとなる。そのため、気候変動の影響は長期的なものであり、現在行う決定とは必ずしも関連性がない、と誤った認識を持つ組織が多いのである。と指摘しています。

 多くの投資家にとって、気候変動は現在、そして将来においても、多大な財務上の課題と機会をもたらします。 国際エネルギー機関によると予想される低炭素経済への以降は近い将来、年間約1兆ドルの投資額を必要とし、新たな投資機会をもたらすと推計されています。同時に、気候関連リスクに晒される組織のリスク・リターン特性は、そのような組織が気候変動の物理的影響、気候政策、新技術によって悪影響を受けやすいと思われることから、大きく変化する可能性があるとしています。  

 ある2015年の研究では、気候変動の結果として、現在から今世紀末までに全世界の管理可能資産残高総計の内、4.2兆ドルから43兆ドルがリスクに晒されると推計しています。この研究は、「将来資産に対する影響の多くが一律的な低成長と低リターンによってもたらされる」ことを強調しています。このことは、幅広いタイプの資産が悪影響を被る可能性があるため、特定のタイプの資産を手放したとしても投資家が気候関連リスクを避けることができない可能性があることを示唆している。したがって、投資家も、また彼らが投資する組織も、自身の長期戦略と最も効率的な資本配分について考えるべきと訴えています。

 長期的に存続が困難な活動に投資している組織は、低炭素経済への移行に対して回復力が弱い可能性があり、その組織への投資家は低リターンとなる可能性が高い。長期リターンに対する影響を悪化させる要因として、不十分な情報のために気候関連リスクを適切に織り込まない評価額を導くリスクがある。そのため、長期投資家は、組織がどのように低炭素経済に対して備えているかについての適切な情報を必要とします。

 タスクフォースによる提言は、気候関連財務報告がまだ初期段階にあることを認識した上で、気候関連リス ク及び機会を適切に評価し価格付ける投資家らの能力を向上させるための基礎を提供するものである。タスクフォースの提言は野心的ながらも、短期間で採用されるよう実践的であることも目指している。タスクフォースは、現在及び将来の組織に対する気候変動の潜在的影響に関する一般的な財務情報開示の質を向上させ、また気候関連問題に関して、投資家が取締役会や経営上層部とのエンゲージメントを増やして行くようになることを期待しています。「組織は動かない可能性があるから投資家さんからも経営陣にプレッシャーをかけてよ」ということですね。


気候変動リスクを財務諸表に反映する?

 自らの資産及び負債、特に長期資産に対する潜在的な気 候関連の影響を示す指標を提供することを提言していることから、具体的な方法論としては環境変化によるシナリオ分析を行い、将来の環境変化による支出を見積り資産除去債務のようなイメージで引当金計上するような流れを想定しているのではないかと感じます。

 ですがJ-REITよりもインフラファンドの方が署名するメリットがあるように感じます。NOIやLTV、DSCR等、J-REITやインフラファンド特有の財務指標が有りますが、新たに環境にフォーカスした指標が開発される可能性もあります。その新指標が投資家さんの投資