2019年9月6日に大和証券オフィス投資法人が日本格付研究所(R&I)から取得している格付けについて発行体格付けがA+→AA-に引き上げられたと発表しました。
20190914R&I格付変更

 R&Iによると今回の格付変更は、資産の入れ替えと内部成長によるポートフォリオの収益性改善と保守的なレバレッジコントロールを評価したものであると述べています。

 具体的には大和証券オフィス投資法人は資産の入れ替えによるポートフォリオの改善に注力しており、新宿マインズタワーの売却資金の残余を用いて2018年10月に笹塚の大型物件を取得したこと。2019年2月には築古物件を売却して晴海のビルを取得、7月には交換スキームの活用により、三田の築浅ビルを高い利回りで取得している点を評価しています。

 既存物件の運用は引き続き好調で、稼働率は高い水準を維持とし、賃料水準も着実に上昇しており、内部成長と資産の入れ替え効果により、NOI利回りは4.5%まで上昇する見通し。2017年まではNOI利回りは4%程度で推移しており、直近2年程度で収益性は大きく改善したことになります。
 東京主要5区の投資比率は81%と高いため、好調なオフィス市況を背景に、今後もしばらく賃料上昇が続く公算が大きい。テナントとの緊密な関係構築や物件特性に応じたバリューアップの取り組みも内部成長をサポートすると考えられています。ここら辺の考えは納得できます。J-REITのとかくオフィスビルの場合やはり、東京都内にあることで賃料上昇やバリューアップ工事が強気に実施できるという点があります。

 2019年5月時点のLTVは42.1%と引き続き低めの水準を維持している。過去の実績を 見ても、負債比率は一貫して40%台前半の水準にコントロールされている。保有物件の含み益は簿価の21%まで拡大しており、鑑定ベースで見たレバレッジはさらに低い。経営指標の点でははNOI、LTVでは問題無いというところを述べています。
 有利子負債の平均残存年数は4年(2019年5月時点)と長く、返済期限は分散していること、国内主要金融機関から比較的低いコストで調達できており、強固な資金調達基盤を構築しています。

 格付の方向性は安定的としており、東京都心に好立地物件を多数保有し、ポートフォリオは良質である点。継続的な資産の入れ替えと内部成長により、課題だったポートフォリオの収益性が大きく改善した点。負債比率は低めの水準を維持しており、資金調達基盤は安定している点が総合的に評価されています。

 R&Iは時系列的に過去から取り組みを評価しているのでレポ―トは簡潔でありながら非常に納得のできる内容だと感じます。文章量は多いものの希望的観測が非常に多く運用歴が短くても直ぐに「A-」評価を付ける某JCRの格付けとは違い信用できると考えています。

 ただ、大和証券オフィス投資法人の一番の問題はスポンサーが他の投資法人を子会社化したりと大分経営が揺らいでいると感じています。スポンサーの信用力低下で大和証券オフィス投資法人が影響を受けないことを願います。