2019年11月14日にジャパンリアルエステイト投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり9,830円のところ10,197円で着地しました。

更新対象テナントの5割以上が賃料増額
20191119ジャパンリアルエステイト投資法人NOI推移

 2019年9月期のジャパンリアルエステイト投資法人は、きめ細かいリーシングを通じて稼働率の向上に取り組んだ結果、2019年9月期末の稼働率は99.3%となり、引き続き高い水準の稼働率を維持しました。物件の取得・売却においては、2019年9月30日に川崎砂子ビルディング(神奈川県川崎市)の信託受益権の準共有持分50%を3,078百万円で譲渡しました。なお、川崎砂子ビルディングは2回に分けて譲渡する予定であり、2019年12月20日付けにて更に準共有持分50%を3,078百万円で譲渡する予定としています。これらの結果、2019年9月末において、投資法人が保有する運用資産はオフィスビル73物件、取得価格の総額1,023,999百万円、総賃貸可能面積852,509㎡(約257,883坪)、テナント総数1,500となりました。業績は、営業収益35,164百万円(前期比6.5%増)、営業利益16,494百万円(前期比13.4%増)となり、借入金等の支払利息等の経費を控除した経常利益は15,390百万円(前期比14.5%増)、当期純利益は14,945百万円(前期比11.3%増)となりました。

 決算説明会資料の14ページ目に入居率(稼動率のこと)の推移が載っていますが稼動率ベースで高水準ということが分かります。その隣の年間テナント入替率が減少しているということについても注目です。これはジャパンリアルエステイト投資法人の物件に満足しているというよりも安くて広いオフィスビルが圧倒的に少なくなっているため移転したいが移転できないというテナントが増えているものと考えられます。そうでなければ決算説明会資料の15ページ目の増減額割合で減額したテナントが0%とはなりませんからね。つまり面積・賃料のバランスにおいて理想的な物件が周囲に無い以上はテナントが強気に減額交渉できません。結果、テナントは賃料増額に応じるか、どうにかAM会社を説得して据置きに持ち込むかしかありません。退去しずらい状況に囲い込むことも競争力が高い物件の特徴といえそうです。


600億円の強力コミットメントラインで安全性は抜群に高い

 ジャパンリアルエステイト投資法人の財務戦略は総資産に占める有利子負債の比率を30~40%を目安に運用することを財務上の基本方針としており、併せて、借入コストや既存借入先とのリレーションを勘案した上で、満期の分散・デュレーションの長期化・安定借入先の多様化等により、健全かつ保守的な財務体質の維持を目指すこととしております。物件の取得による新規借入や既存借入金のリファイナンスにあたっては、前記観点のほか新投資口発行による資金調達での返済可能性等も念頭に置き、戦略的かつ機動的な借入を実施しています。 期におきましては、既存借入金の返済資金に充当するための借入を実施したほか、総額600億円のコミットメントラインについて、契約期限の1年間延長を実施しました。このような取り組みの結果、2019年9月30日現在の有利子負債残高は前期末比同額の389,993百万円となり、内、長期借入金は343,500百万円(1年内返済予定の長期借入金46,500百万円を含みます。)、短期借入金は13,500百万円、投資法人債は32,993百万円となりました。LTVは40.4%となっています。2019年9月末現在で取得している格付けは以下の通りです。
・格付投資情報センター(R&I):発行体格付 AA(安定的)
・S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱:長期:A+(安定的)、短期:A-1
・㈱日本格付研究所(JCR):長期発行体格付 AA(安定的)