2019年12月17日にプレミア投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金4,230円のところ4,279円で着地しました。
尚、利益超過分配金は880円となっています。

取り組んだ運用については説明が必要
20191224日本ヘルスケア投資法人含み益推移
 2019年10月期において、物件の取得はありませんでした。 なお、2019年10月末の現在保有する物件について、賃貸可能面積は67,903.84㎡、稼働率は100.0%となっています。決算短信の4ページをご覧ください。運用実績の箇所は何も書いてないですね。大和証券リアルエステートという日本ヘルスケア投資法人の運用会社は2019年10月期は運用について何もしていなかったのか?と疑いかねない雑な造りだと思います。代わりに私が代弁しますが、「日本賃貸住宅投資法人との合併のためのDD作業と合併後スポンサーから取得する物件が如何に魅力的かの資料作りで精いっぱいでヘルスケア施設の運用に構っている暇はありませんでした。」どうですか?。間違っていますか?。個人的には図星過ぎると思いますけどね。

 大和証券グループにとっては日本賃貸住宅投資法人も日本ヘルスケア投資法人も同じ傘下のJ-REITなので物件売却益を得るための装置的に考えているのでしょうが、投資家さんは違います。日本ヘルスケア投資法人の投資家さんは、日本賃貸住宅投資法人あるいは大和証券の投資家さんとは限りません.今期に取り組んだ運用・施策についてはしっかり説明する必要があると思います。J-REIT全体を見てもやたら来期の話ばかりで今期の運用の結果についてろくに説明しない投資法人は他にもあります。運用実績をきちんと説明できない投資法人に「来期の分配金は上がる」と言われても信用できないですよね。投資家さんは資産運用会社の予想(というか妄想)に騙されないようにご注意ください。


2020年3月期の合併交付金は3,525円
 
 財務面については2019年10月期において借入金の返済資金に充当するため、2019年10月31日に返済期限が到来した㈱りそな銀行、㈱みずほ銀行及びみずほ信託銀行㈱からの借入金総額2,900百万円の返済資金として、同日にそれぞれ同行より同額の借入れを行いました。 2019年10月期末の有利子負債残高は総額9,800百万円(全て長期借入金)となりました。長期借入金のうち、1年以内に返済期日が到来するものが3,000百万円あります。2019年10月期末時点の平均残存年限は3.0年となっています。LTVは46.8%です。

 尚、日本賃貸住宅投資法人との吸収合併契約の承認の株主総会は2020年2月4日に開催されます。招集通知は2020年1月16日に発送予定となっています。元々立ち上げ当初は初のシニア系J-REITということと、スポンサーの大和証券が今ほど迷走していなかったということもありレンダーには信金中央金庫や第一生命といった安定性が極めて高い投資法人にしか融資しないレンダーが名を連ねています。彼らが合併後も引き続き融資姿勢が現状のままであれば問題は無いと思います。合併することで大和リビング投資法人として生まれ変わる訳ですが、資産規模は日本賃貸住宅投資法人の方が上ですし、運用資産ポートフォリオの質は日本賃貸住宅投資法人に引きずられることになると考えられるのでレンダーの評価には注意が必要です。

 日本ヘルスケア投資法人は2020年3月期が最終決算となり合併交付金が円支払われる予定となっています。日本賃貸住宅投資法人は上記の鑑定評価額とほぼ同額で日本ヘルスケア投資法人のヘルスケア施設を受け入れることになるので負ののれんの発生益の発生は難しいですね。