2020年4月13日に福岡リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,650円のところ3,642円で着地しました。

内部成長とサスティナビリティ対応に注力
20200419福岡リート投資法人賃貸事業利益推移

 2020年2月期は物件の取得・売却の動きはありませんでした。しかし、2019年10月29日にロジシティ若宮(取得予定価格1,700百万円)を2020年6月30日に取得する売買契約の締結を行いました。(売主は非開示)2020年2月期には運用に注力しキャナルシティ博多等の主要商業施設において引き続き競争力や集客力を強化し、福岡市内オフィスビル物件において賃料増額改定等の収益力強化に努めるとともに、保有物件の稼働率の維持向上に注力しました。この結果、2020年2月期末における投資法人の保有する全物件の平均稼働率は 99.7%である一方で、2020年2月後半以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内及び海外における感染拡大に伴い、商業施設では来場客数が減少し、ホテルでは客室稼働率が落ち込む結果となりました。2020年2月期末のポートフォリオ(取得価格ベース)を投資対象エリア別で見ますと、福岡都市圏への投資比率が77.2%となっており、投資タイプ別の投資比率は、商業施設59.2%、オフィスビル26.9%、その他13.9%となっています。
 また、投資法人は、「サステナビリティ方針」に基づく、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮を通じたサステナビリティを推進するために、サステナビリティ推進委員会(構成委員は、代表取締役社長、運用部、投資部、財務部、企画部及びコンプライアンス部の各部長です。)を設置し、社内体制、社外関係者との協働、情報開示方針等について、具体的な目標や施策の検討、施策実行に関する進捗状況の把握を行っています。実務面では、サステナビリティ委員会で決定した目標に関する実務的な責任者であるサステナビリティ執行責任者(企画部長)の下にサステナビリティ推進室を設置し、GRESBリアルエステイト評価(Green Star・4 スター)、責任投資原則(PRI)及び21世紀金融行動原則(PFA21)の継続業務等を行っています。


コミットメントラインの期間延長は〇

 2020年2月期の財務の動きとして新規の借入れは無く、リファイナンスを行った結果、2020年2月期末における有利子負債残高(投資法人債む)は77,500百万円となりました。LTVはは39.8%、期末固定化比率(有利子負債の中で金利固定のものが占める割合です。投資法人債を含む。)は92.4%となっています。また、㈱西日本シティ銀行をエージェントとするコミットメントライン契約(極度額:70億円)の期間満了に伴い、コミットメント期間を3年間に長期化して設定を行っています。今後も返済期日の分散及び長期化によるリファイナンスリスクの軽減に努めるとともに、借入金利の固定化等で金利上昇リスクの軽減に努めていくとしています。
 コロナウイルスによる自粛が広がる環境下でも2020年2月26日には総額70億円のコミットメントライン契約の巻き直しを行いました。金額には変更有りませんが、コミットメントライン期間は2年→3年に延長されています。また、同日付で㈱西日本シティ銀行からの借入25億円について、㈱みずほ銀行と金利スワップ契約を締結し金利の固定化を図りました。福岡リート投資法人の資産運用会社としてもレンダーがいつ手のひらを返してくるか分からないという懸念があったのだと感じます。コミットメントライン契約の維持はコストが高いため個人的にはあまりお勧めの戦略とは思っていませんが、現状では投資法人の安全性の確保の観点では支持せざるを得ないですね。